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 教会から出ると、夕焼けが三人を讃えていた。

 行き交う人が知らないところで戦った英雄を天は知っているぞと言わんばかりに美しく。



 白頭巾の姿は神父に借りた外套を纏い、汚れた服を隠し、頭巾を被らず頭を出していた。



 暮れなずむ街を足早に家路へ帰る人達。

 そんな光景はいつもと同じだった。


「この人達は、何も知らないんですね。」

 ボソリと神父の口が漏らした。


「それで良いのよ。私達のやってる事は誰も知らない。いえ、知られちゃいけないのよ。」

 ペーターも頷く。


「すみません。」

 聞こえていた事に、驚き謝った。


「謝らなくても。」

 笑顔で返し、

「それにね。知られないことで良い事もあるのよ。」


「良い事ってあるんですか?」

 周りの人が、こちらに視線を向ける程大きな声になったのは驚いたから。


「あるのよ。」

 口元に浮んだ笑いの意味に神父は気が付かなかった。

「それはね…。」


「それは…。」

 神父は街中でも聞こえた固唾を飲む音を自らの耳で聞いた。


「同業者が増えない。」

 口元はからかう笑いを浮かべていた。


「えっ!?」

 直後、目の前の二人は笑っていた。


「からかったのですか?」

 意味を理解し、聞き返した。


「意外と本気かもよ。」

 楽しそうな、笑顔からは真意は読み取れなかった。


「急ぎましょう。日が暮れるわ。」

 駆け出す白頭巾を追いかけるペーター。


「待ってください。」

 取り残された神父は、遅れ駆け出した。


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