高い
突如、引っかかっていた疑問の答えが降ってきた。
「そう言う事でしたか!」
突然の大声。
「えっ! 何の事?」
「あの糸です。あれは銀が入っているのでは?」
「へー。よく見てるじゃない。」
感心した。
「傷口から入る魂を侵す毒を浄化する銀入りの糸! そうですね。」
「正解よ。」
嬉しくて飛び上がりそうな神父。
扉が叩かれ、
「お食事お持ちしましまた。」
運び込まれた。
その事で冷静さを取り戻した神父は、少し恥しそうだった。
「美味そう。」
「美味そう。」
ここだけ見ると普通の子供達にしか見えない光景だと思う神父は、
「お先に召し上ってください。」
薦めた。
「では、遠慮なく。」
「いただきま〜す。」
本当にお腹が空いていたのだろう二人は、あっという間に平らげた。
白頭巾は口の周りを拭き、
「続きを。」
促した。
「でね。」
チラリとペーターを見みてから、白頭巾は神父を右手でちょいちょいの呼んだ。
「はい…。」
ゆっくりと近付た神父の耳元に、
「ゴニョゴニョ。」
囁く。
「高っ!!!」
勢いよく立ち上がる神父。その余波で椅子が後に倒れる。
椅子まで倒した自分に気が付くと、
「取り乱して申し訳ない。」
椅子を戻し座り直した。
「その金額は、あまりにも高い…。」
「あら、物分りの良い神父様ならご理解いただけると思ったのですが。」
わざわざ様を付け呼んだ。
「ですが…。」
「私達の仕事は大量の銀を使います。それも消耗品として…。」
ペーターが机の上に、何かを転がした。それはゆっくりと転がると止まり、その正体を判らせた。
「その釘は銀製。その他にも多く銀を使っています。今の金額でもお安いぐらいですが…。」
考えるが、一人では出せない答えに、
「市長と相談します。私の判断だけではどうにもならない金額なので…。」
「次の犠牲者が出る前に決めた方が良いわよ。」
その言葉に驚き、
「助けてくれないのですか…。」
そう聞くと、白頭巾の天使の様な顔を見た。
「あら、私は慈善事業じゃないのよ。」
その言葉で、白頭巾の顔が悪魔に変わって見えた。
「今朝のは、お試しって事にしとくわ。」
笑顔で首を軽く傾げた。その仕草はあどけない。
「解りました…。」
小さく言った。
「後…。」
もう諦めたように、
「まだ、何か?」
返す。
「私達の住む所を手配してくださる。」
「それも相談してきます。」
「街外れの一軒家。周りの家から少し離れた物件が良いわ。」
「伝えます…。」
「良い返事待ってるわ。」
立ち上がり、
「ポーチ。」
それだけ言うと、左手を差し出した。
ペーターは慌てて大きな荷物を開け、可愛いらしい肩掛けのポーチを取り出し、
「はい。」
左手に言われたのもを乗せた。
「とりあえず、荷物はここに置かせて貰うわ。」
扉へ向かった。
その背中へ、
「どちらへ?」
神父が聞いた。
「街を見て来るわ。」
振り向かず答え、
「ペーター。置いてくわよ。」
また、慌てペーターは、
「待ってください。」
立ち上がり追い掛けた。
二人が扉から出て行くと、
「市長が了承してくれるかな…。」
溜め息を付く。




