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王の間


 暗闇を四角く切り取る光。


 それは、迷宮の終わりを告げていた。



 光を潜る二人。


 ここは迷宮。


 仮にも宮と付くならば、あるかもしれない場所。


 そこは、終着に造られた広い空間。


 わざに、壁近くに立てられた柱には刻まれた装飾。そして、柱全てに掲げらている灯りが闇を退け、この広間を明るくしていた。


 床石は通路と異なり、化粧石により美しい紋様を施されていた。

 その紋様は床に留まらず、立ち上がり壁を埋め、天井まで届き、この間を特別な空間へと昇華していた。


 そう、ここは迷宮の王の間。


 しかし、王の間の奥にあるはずのものが無い。

 それは、玉座と呼ばれ高い位置と地位から見下ろす場所。自分がこの部屋の支配者だと示す椅子。


 代わりにあったのは、巨大な岩。椅子ではなく磔のための土台。

 その証拠に、胸に巨大な杭が刺さったままの人ならざる死体が横たわる。

 更に、死体の手足は鎖で岩に繋ぎ止められている。まるで暴れる猛獣を、この場に留めておくかの様に。



 岩の前に背を向け立つ人。


「マーシュ神父様!」

 白頭巾を飛び越え、大声で名前を呼ぶ。

 その声は、反響し王の間を埋め尽くす。


「そんなに、大声を出さなくても聞こえますよ。」

 優しい声のマーシュ神父が振り向きながら応える。


 目線を床に落とした白頭巾、

「ペーター!」

 マーシュ神父の足元に横たわったいた。


「お二人共、お早かったですね。」

 最初に会った時のままに、優しい笑顔。


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