倒す
白い頭巾の少女は、右手のナイフを投げる。そこは、死体の眉間…、前のナイフの真横に刺さる。
投擲の力は頭へと伝播し仰け反らせる。
瞬の隙き。
短剣を右手に持ち換え鞘を外す。
現れた鈍い銀色の輝き。
「今度は、痛いわよ。」
言うが早いか、踏み込むと仰け反りから回復していない死体に斬り付ける。
「グォがごゲグ!」
死体の上げたのは、人の悲鳴では無く音。
更に傷口から立ち昇る白い煙。
「やっぱ、これじゃないとね。」
短剣を見詰める目は、まるでお洒落な小物を見ている少女のようだった。
死体でも苦痛を感じるのか、傷口を押さえる。
今度は感情があるかの様な反応。
怒り。
両手を振り上げると、白い頭巾の少女へ襲い掛かる。
そして、交互に腕を振り下ろす。
白い頭巾の少女は前になった足で地面を蹴り、右構えと左構えを入れ替えながら下がり避ける。
左腕の振り下ろし、
「えい!」
呼吸を合わせ肘を短剣で受け止める。
それはその勢いのまま、まるで抵抗等ないかの様にスッパリと斬り落とした。
『ボトリ。』
斬った時とは対象に、落ちる音は大きかった。
肘から先が無くなり、がら空きになった死体の左側に回り込み、
「やっ!」
掛け声と共に短剣に左手を添え死体の左脚を斬る。
『ボタリ。』
重い脚は先程よりも大きな音を上げる。
『ドスン。』
均衡を崩し仰向けに転がった。
起き上がろうと藻掻く死体の右腕を白い頭巾の少女の左足が踏む。
「ご主人様!」
男の子が、助走を付け投げる。
今度は長さ50cm程の筒に取っ手が付いているモノ。
短剣を左手に逆手に持ち換る。
またも振り向かず右手で受け取る。
くるりと回し、構える。その筒は大型の銃の様にも見えた。
死体の胸に先端を押し付けながら、左手も短剣と共に前側に付いた取っ手を握り、
「その魂。人に還りなさい。」
引き金が引かれる。
神父は、それが祈りの言葉に聞こえた。
筒は後ろ側から派手に煙を吐き、轟音を轟かせ先端から太い杭を打ち出す。
『ズゴッ!』
太い杭は死体を地面に縫い付ける。
しばらく痙攣していた死体は動かなくなり、元の死体へ戻っていった。




