逢魔が時
昼からは教会へ出向いた。
天井を遠眼鏡で見たり、教会内を調べたり、外から教会を見たりと考えられる事は全てやった。
結果。
何も解らない。それが成果だった。
帰り際、
「神父さん。明日はジャン爺さんのところへ行ってみましょ。」
肩を落とし、ため息まじりの白頭巾は疲れている。
「解りました。きっと、良い話が聞けますよ。」
精一杯の励ましを込めた言葉。
「そうね…。」
やはり、疲れている。
「帰りましょ。ペーター。」
「はい。」
二人の背中を見送る神父は、『とぼとぼ帰る』を初めて見る。
「そうだ!」
思い出し、突然声を上げるペーター。
「な、何?」
少し驚た白頭巾の反応は早い。
「神父さんに新しい料理教えてもらったんだ。」
「それで?」
意図が掴めず首を傾げる白頭巾。
「作るのに、食材が足りないから寄り道して買ってきてもいい?」
「それじゃ、回り道して帰ろうか。」
「えーっ。ご主人様は、先に帰ってて新しい料理作って驚かせるんだから。」
「新しいって先に言ったら、驚かないわよ。」
口元から溢れた笑みで少し元気なれた気がする。
「兎に角、先に帰ってて。」
「はいはい。楽しみに待ってるわ。」
「任せて。」
言い終わるが早いか、ペーターは駆け出した。
その背中を見送りながら、
(気を使わせちゃったかな。)
イライラしていた自分を反省した。




