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今日は時間を置き去りにして

作者: 走馬灯

五分後に掛け直したアラームが現実を告げるその前に、君に会いに行く。

視界が薄くぼやけて、暗くなって、意識は遠のいて、君の元へ近づく。

次に目を開ける時は真っ白な空間に僕はいて、その白に溶けそうな肌の君がいた。君は僕の方へ走り寄って

『また大きくなったかな?男の子は高校生になってからも伸びるもんね』

君より少し小さい僕の頭に手を置い言う。

君の温もりを頭で感じてはまた胸が痛くなる。

君は少し泣きそうな僕に『まあまあ、しょうがないじゃんか』と言った。


『だって』

そう口を開くと君は

『私は君の笑った顔が好きかな』

そう言って照れたように笑って見せた。

僕は顔が赤くなって恥ずかしかって、しっかりと返事ができなかった。黙っていると

『最近、君はどうなの?』

と聞かれたので最近の近況を話した。

学校は相変わらず退屈なこと。

勉強がわからなくなってきたこと。

ボーッとするのが増えたこと。

それを君は表情をコロコロと変えて少しオーバーリアクション気味に聞いてくれた後『そっか』と言って視線を僕から外した。

『でもダメだよ、しっかりお友達とか作らなくちゃ』

再び僕の方に視線を向けて少し膨れて見せた。

『だって、周りが』

だって周りが、その続きは言えなかった。

視界の君はいなくなって見知った天井になる。

頭の近くでアラームがなっていたからだ。

少し名残惜しかったけど、君とはまた会えるから、と心に聞かせた。

着替えた後、両親と病院に行った。

両親は最近食欲がなくて、引きこもってばっかで、眠りすぎるのがうつ病の症状に似てるからと言っていた。

病院に行っても知らない大人が何か言ったあと薬をもらっただけだった。

なんの意味もない。人間なんてどこか少しずつおかしいのだから。

病院を後にして家に着くとお昼になっていて、お腹がすいていたけど君に会いたくて、すぐに自室に戻った。


また白色の空間に戻ると、君は珍しく少し悲しそうな顔をして『聞いてくれるかな』と言った。


黙って頷くと『あのね』と話し始めた


『あのね、今のままじゃ君はよくないと思うの。それはきっと私のせいで今の状況だと思うし、私の事は忘れてほしい』

そう言った。

『嫌だ』そう言おうとすると君は両手で僕の右手をとって自分の左胸におしつけた。

『でも忘れられる前に思い出が欲しいの』

吐息を纏ったその言葉と右手の柔らかい感触。

初めて触る女の子の乳房に興奮してしまった。

『いいでしょ?』顔を近づけてそういう君と目を合わせられなくて、目をそらした。そうすると

『いいよね?』とさらに顔を近づけていう君。

顔が近くてキスをするみたいだった。

黙って頷くと『そっか』と言って笑った。

『じゃあキスしよっか』

僕はそう言って顔を近づける君にやられるがままキスをした。

自分の口に君の舌が入ってきた。

嫌じゃなかった。

『服、脱がせてもらえるかな?』

そう言われると僕は君のブラウスのボタンを外し、脱がせ、その胸とブラが姿を現した。

白いけど、今は少し赤みががって血色が良い肌色。

それを見てると

『やっぱ好きなんだね』

そう言って君はブラを外して『触って』と言った。

下から持ち上げるようにして触る。

君の体はどこも柔らかかったけど、ここは特に柔らかかった。

僕が触ってる時君は時々吐息を漏らした。

君と僕とが体を触りあって、温もりを感じ合うことに幸福を感じた。

でも、触り合うだけじゃ足りない。その先に行きたくなった。

ベルトを緩めてズボンを下ろそうとすると君は『それはダメだよ』と言った。

なんで、と聞くと『それを受け取るのは私だけじゃないから』と言った。

なんでともう一回聞くと

『君は私を忘れないといけないから。それはしちゃダメだよ』と言った。


『でも』と言うと君は『ダメなの』と言った。

その少し冷たい感情を含んだ言い方に僕はこれ以上言うことを躊躇った。

君は前のボタンの開いたブラウスで胸を隠しながら

『思い出、ありがとうね』

そう言った。

僕はなんで、なんで、と狂ったように繰り返していた。なんで、僕が彼女を忘れないといけないのか。なんで、なんで。

『忘れろって言ったけど、時々思い出してもいいんだよ?』そう告げる君をせめて網膜に焼き付けようとしっかりと見た。

『じゃあね』そういう君に『またね』と返した。

起きると夕方になっていた。

僕はすぐに起き上がると君の家に行った。

インターホンを鳴らすとすぐに君の両親が出た。

『いつもありがとうね』と言うと僕を家に上げてくれた。

僕はいつもの通りに家の中を進んで、君の仏壇へ行って、線香をあげた。

目をつぶり、心の中で『辛いけど、さよなら。ありがとう』と言うと、頭に暖かい君の手の感触がして、耳元で『でもたまには会おうね』と言う声がした。

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