表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第一話 ネガティブゾーン

最近、死ぬことばかり考えている。

私は、高校三年生にもなってろくに進路を決めていない。というかどっかに進むのがめんどくさい。勉強はしたくないし、仕事はもっとしたくない。正直ニートがいい。

でも、世間は半ば強制的に進学や就職をさせる。いや、それが正しいのであって、私が間違ってるんだけど…どうにもやる気が起きない。


ニュースやツイッターでは、人が死んだ、テロが起きた等暗い話題や社畜の愚痴で溢れている。良い面より悪い面を探すほうが得意な私には、余計にそう見えてしまう。

未来に希望が持てない。ためしに書いてみた履歴書も詰まる。みんなは勉強ができたり、運動が得意だったり、そうでなくても誇れる特技があったり…私の良い所は何か。そこらの人よりは優しい…気がする。あと、正直者で嘘がつけない。昔から嘘をつくとすぐ顔が赤くなる。

優しい所、正直な所。それって社会で役に立つのか?どちらも損をする光景しか見えてこない。正直者が馬鹿を見る。視野が狭いだけか、それとも…


口癖のように「死にたい」と呟いている人がいたとする。でもその人はいじめられているわけではなく、むしろ少ないながら友達もいる。周りの人は優しいし、進路だって適当ではあるが決まっている。

そういう人は、単にネガティブなんだろう。この先自分が幸せになるビジョンが見えないのだろう。実際、私がそうだから。私の周りに、嫌な奴なんていない。私が正直なことくらいしか取り柄のないダメな人間でも、それを環境のせいにはできない。全部私のせいだ。私が悪い。当たり前だとわかっていながら、変えようともしない。めんどくさいから。


どこに行けばいいかわからず彷徨っている。そのうち、どん底まで落ちていく。


考査前最後の休日、テスト勉強をしたくなくて用もないのに外出した。全てを投げ出して逃げたい。何故逃げたいのか自分だってわからないのに。いっそこのまま適当な道を曲がって…


ふと、違和感を覚えた。

時代に取り残されたような寂れた道。この道はちょっと怖くて、曲がったことがない。だけど、今日はその道を歩いてみる。何か生活に変化が欲しい。良い事でも、悪い事でもいいから。

だが別に目新しいものが落ちているわけでもなく、また見知った大通りに出ただけだった。落胆と同時に、ここを通ればこれから時間短縮できるな、と少しだけ得をした気分になる。


大通りを散歩した後、またその道を通って帰る。どうにも違和感が拭えない。きっと何かある。もう一度目を凝らして、今度は隅々まで見てみよう。

しかしそれは杞憂に終わる。そこにはどう見ても怪しいお婆さんが普通に立っていた。「胡散臭い」を擬人化したらまさにこうなるなという見た目。ただ、どこか私と雰囲気が似ている。お婆さんと言えば怪しい魔女みたいな役にぴったり、は私の持論だ。

お婆さんの前を通り様子を見ようとすると、思ったより若々しい声で話しかけてきた。


「あんたの寿命、引き取ってやるよ」


この人は、何を言っているんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ