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プロローグ IF
人は、死ぬことが怖いから生きる。生きる理由なんて、結局はそんなもんだ。
いつ死ぬかわからない。明日かもしれないし、100年後かもしれない。いつか来る終わりの時に後悔しないために、努力して幸せを掴む。よほどの変人でもない限り、努力は楽しいもんじゃない。
じゃあ、もし、いつ死ぬか決まっていたら。
人は、どう生き方を変えるのか。
まだ小学生だった頃、担任の先生がふと口にした言葉。
「灯はいつ、拘束された自由から抜け出せるかな」
別に緊張感漂う中で言ったわけでもないし、そもそも当時の私は拘束という単語の意味を知らなかったから(知っていたら博識か変態のどっちかだろう)それほど気に留めることもなかった。
もう名前も忘れた先生だけど、その言葉は妙にひっかかっている。