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はち 海に君臨する天使と最弱とイカ

海だ!水着だ!イカだ!?

最弱が頑張ります。


ラファと涼音と買い物に行く約束をし、その日を迎えていた。

ショッピングモールに行くのに電車を使うので駅に集合することにした。駅が丁度良く俺の家と涼音の家の間にあるからだ。

約束の10時の15分前。俺とラファは既に集合場所に着き涼音を待っている。


「お金はある。ハンカチとティッシュもある。大丈夫かな」


「ちょこもあるし」


「そうだな、後は涼音が来たらおーけーだ」


みんみんと蝉の大合唱が響く中ラファは汗ひとつかいていない。周辺の温度を調節しているのだ。その空間に俺も入っているため快適だ。


「すずねきた」


「ん?お、ほんとだな」


白いノースリーブにゆったりとした長めの水色と青の中間のような色のスカートで、ストローハットを被り、少し大人びた印象を受けた。


「お待たせ!2人とも早いね」


「10分前に着く予定だったんだけどね、その予定よりも早く着いちゃって」


「そっか。まあ、それじゃ行こっか」


「だね」


今日のお目当は水着。俺たちは220円の切符を買い、電車を待つ。


「ラファちゃんどんな水着が似合うかな?」


「と、言われましても…」


その辺の知識に疎いため、反応に困る。一応、ネットで調べたのだが、なんとも言えなかった。


「ふっ、そう言うと思って事前に考えておいたよ」


と言って、キリッとキメ顔を作る。なんとも頼もしいことか。俺は涼音に全てお任せすることにした。そして、ショッピングモールの水着売り場にて。


「じゃあーん!これなんかどうかな!」


と、涼音が自信満々で問う。青い紫陽花の様な柄のワンピースタイプの水着だ。ラファの使う魔法や雰囲気にベストマッチしたチョイスで、俺は数瞬間言葉を失った。可愛すぎるのである。


「…すっげえ可愛い」


「でしょっ!やっぱ似合うって思ったんだよねっ!」


「ラファはどうかな?」


「ん、きにいった」


「んじゃ、買いだね」


「ちょっと待って」


俺がラファに着替えるよう促そうとした所で涼音が止める。


「どしたの?」


「私のも買って♡」


パチンと完璧な可愛いウインクをして、涼音がおねだりしてきた。


「いいけど試着して見せてね」


「もちろんタダとは言わないよっ!見返りはって、いいの?」


「うん」


「選んできます」


涼音は照れを隠すかのように逃げ、否選びに行った。


「ラファ、一人で着替えられる?」


「ん」


と、短く告げて、ラファはカーテンを閉めた。ぽつりと一人残った俺は、ラファの水着姿に麦わら帽子が似合いそうだなと妄想していた。すると涼音が何着か持って帰ってきた。


「それ全部試すの?」


「うん!意見頂戴ね」


「ん、了解」


それから赤や青やビキニやらなんやらを着たのを見て、最終的に俺が選んだのは、ピンクと黒のボーダーのビキニだ。

こうしてラファと、涼音の水着を買い、店を出る。


「それじゃあフードコートでご飯食べよっか。少し早いけど、今なら空いてるだろうからね」


「ちょっと待って」


「ん?」


「寄りたいところが、その、あって、ね?」


謎に歯切れ悪く涼音がキョロキョロしながら言う。


「うん。それじゃ行こうか?…それともラファ連れて行ってくる?フードコートの席取っとくよ?」


何故か嫌な予感がしたため、フードコートの席取り役に立候補した。しかし、涼音は横に首を振る。


「うんん。ついてきて」


「…はい」


***


何故、こんなことになってしまったのだろうか。俺は必死にそれを考える。店員及びその周辺の視線がぶっ刺さる。

ここは、その、ランジェリーショップというか。男って普通来ないよね!?ここ!あれか?あれが悪かったのか!?確かに告白の返事そのものだったけどさ!?隣にはラファがいるよ?いるけど考えて。幼女と共にランジェリーショップにいる男。犯罪臭しかしねえよ!


「…お客様……ですよね…?何をされているのですか…?」


「えっ、いや、その」


やばいなんて言えば、まだ彼女じゃないけど彼女って言うか?いやなんか申し訳ないし、どーしよ!?


「理央君」


「ッはい!どうした涼音」


「逃げてないねよろしい」


とだけ言って再びカーテンを閉めた。


「あっ、申し訳ございません」


「いえ、紛らわしくてすいません」


「あまりにも若く見えたので親子に見えなくて。兄妹にも見えないものですから」


ん?俺とラファのことを言っているのか?と、思考している間に店員さんはぺこりと頭を下げ、離れてく。


「…ある意味親子なのかもしれないけど、違うよな」


「理央君…じゃ、じゃあーん…」


と、引きつった笑みを浮かべて涼音が見せてくる。恥ずかしいなら無理に見せなくてもいいのにと思いながら必死に感想を考える。

薄いピンク色で、細かい刺繍が沢山入っていて、手間隙かけていることが見て取れる。子供っぽくなく、かと言って大人っぽ過ぎる訳ではない絶妙な色気がある。って結局これなんて言えばいいの!?


「あの、すごく、いいと思います」


「そ、そうですか…」


「……」


「……じゃ!………これ、買って…」


「…うん。いいよ」


ここでギブアップらしい。真っ赤な顔でカーテンを勢いよく閉め、少しの間悶絶の声が聞こえた気がした。

俺じゃなくてラファでも同じ感想言えるな。と思いながら、天井を見上げた。

それからはお互い気恥ずかしさがあったものの、お昼を食べ、涼音を家に送って、今日のお出かけ終了。そして1週間後に、海に行く。

海に行くの、何年振りだろうと、眠る前にふと思った。1歳くらいの俺が母さんと一緒に映った写真を見たことあるから、それ以来か。


「…楽しみだな」


もう寝てしまったラファの頭を撫で、眠る体勢になった。

そして、時は過ぎ、カッ!と太陽が照っている。めっちゃ暑い。着替えがパッと終わった俺は一足先に砂浜に辿り着き、膨らませ済みの浮き輪とビーチバレーボールを持ち、待機している。


「人、多いな。仕方ないか」


俺は立ったまま待つ。その方が目立つも思って。そうして3分程待っただろうか、ひんやりとした手が、俺の手に触れた。


「ん、おまたせ」


「お待たせ!理央君!」


「ん、来たか」


2人とも前に買った水着を着て、俺の目の前に立つ。涼音はパーカーを羽織っているけどそれはそれでいいから問題ない。


「そのパーカー、濡れてもいいやつなの?」


「うん!中学生の時に使ってたやつなんだけど、胸周りがきつくって」


そう言ってあははと笑う。確かに発育がいいよなそこ。まあそれは置いておいて。


「うん。似合ってるね。まあ買いに行った時に見ちゃったけど」


「そうだね。…その、パーカー着ちゃってごめんね?なんだか恥ずかしくって」


「ええ!?いや、大丈夫だよ!無理なんてしなくていいし」


「そう?理央君、残念そうな顔してたからもしかしてと思って」


嘘だろ!?全くそんなつもりなかったけど、俺の本能がそう思ってしまった結果かもしれない。反省せねば。


「とっ、とりあえず遊ぼっか!」


「う、うん!」


「なにするの?」


「んー、泳ぐ?」


俺が提案すると涼音は向こうを見て指を指した。そこには浮島があり、子供たちが海に飛び込んでいた。


「私、飛び込みたい」


「あそこ結構深い所だけど、いける?」


「私、泳げないからさ、浮き輪で浮かんどくから連れてって」


「……ラファは?」


「およげるけどうきわにつかまっとく」


「ん、了解」


仕方なく、俺は泳いで浮き輪を引っ張り、浮島まで2人を運ぶ。浮島に着いたら俺が先に上がり、涼音を引っ張り上げる。そしてラファを引っ張り上げた。

それから30分程だろうか。2人は飽きずに飛び込み続けていた時に事件が起きた。


ザッバァン!!!


突然大波が発生し、浮島が大きく揺れる。大半が海に落ちたが、俺とラファ、涼音はなんとか留まる。


「な、なんだ!?」


「ん、あれ」


ラファが指差す。その方向にいたのは、そりゃもうでっかいイカ。20メートルくらいのイカ。


「く、クラーケン!?」


「たぶん、すずねあってるよ」


「ッ、ラファ、涼音を持って飛ぶんだ」


「ん」


「えっ、理央君は!?」


「攻撃を打ち返してみるから、もしも隙ができたら2人とも攻撃よろしく!」


そう言って剣を顕現させ、構える。都合よく俺を狙っているようだ。さあ、きやがれ!

クラーケンが足を上げ、俺に振り下ろす。特に変則的な動きもなく、真っ直ぐ俺に振り下ろされる。俺は難なく剣で攻撃を受け、感じた。これ無理なやつ。

ドバシャァン!と派手に水飛沫を上げ、叩きつけられる。やばい!息ができねえ!

と、とりあえず噛み付いてって食いちぎっちゃった!海水の塩味が効いてうまい。じゃない!溺死する!?

その刹那突然イカ足が軽くなる。なんのこっちゃ分からないが、抜け出せた。


「ぶはっ…げほっごほ…あ、危ねえ」


氷塊が突き刺さり。イカの足が1本落ちているのを見て察するに、ラファが助けてくれたのかな。天使かよ天使だわ。


「理央君!大丈夫!?」


「全くもって役に立たないという事が分かって心が大丈夫じゃない」


「体が大丈夫ならおっけ!理央君は離れてて!」


「…はい………………」


はーー、マジで役に立たないのか。


「アルテミス!私たちが注意を引くからおっきいのお願い!ラファちゃん、いける?」


「いける」


…………………何か、ねえかな。


「早く電流装置海につけてこい!」


「僕も感電するじゃないですか!」


遠くからそんな会話が聞こえる。そうじゃない何か考えなきゃ。あ!


「ッ…!あった!あの!俺が電流装置海まで持っていきます!」


「いいのかい?」


「はい!行けます」


「じゃあお願いします」


俺はでかいプラグのようなものを受け取ると、海までダッシュした。海水客は全員避難完了済み!


「ラファ!万が一のために高度を上げて!涼音を落とすなよ!」


そう言って、俺はプラグを海水に浸ける。コードがギリギリなので手放せば海水から出てしまう。これは覚悟せんと。


「ッお願いします!」


合図から少しすると海に高圧電流が流れ、イカと俺を襲う。


20秒程流れただろうか。イカも俺も、その場に倒れた。


***


「ぐ…ぁ……?」


「ッ!理央君!」


「涼音?俺は…ああ、そっか。感電したのか?」


「放電処理は終わってるよ」


「そかそか」


あー、役に立てたんだなあ。良かった良かった。


「なんで、あんな危険なことしたの?」


「水の加護があるからいけると思ったのさ。ラファの水は、限りなく純水に近いから、電気をほぼ通さないんだよ」


水道水とかには不純物が入っていたりするから電気を通しちゃうだけで、水自体は絶縁体なのだ。正直、どこまで軽減できるかは、賭けだったが。


「もう、ダメだよ」


「へ?」


「危ないこと。ダメ。分かった?」


怒っているような、心配しているような、膨れているような。そんな顔で、俺を見る。


「うん。なるべく、しないよ」


「……………まあ、絶対は無理だよね。許す。ラファちゃんは私が許すなら許すって言ってたから。今は寝てるよ」


そう言って涼音が隣のベッドを見る。釣られてそっちを見るとぐっすり寝ているラファの姿が映った。


「動ける?」


「うん。大丈夫だよ」


その証明と言わんばかりに俺は立ち上がってみせる。すると涼音はふっと笑った。


「そっか。なら行こ。イカ食べに」


「あれを調理したの?」


「らしいよ。ほら、ラファちゃん抱えて」


「お、おう」


色々あって、心配もかけたけど、いい思い出になったと感じた。ラファが来てから、全てが変わった。良くも、悪くも。これからはどうなるだろう?それは、神のみぞ知る、だ。


これ書いてからというもの、イカが食べたい。

さてそれは置いておいて!

海行ったらもう、残るは花火くらいだよ!

次回は花火と何か夏っぽいのもう一個かなと。

頑張って考えます!今冬だけど夏のことを!

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