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じゅう 文化祭に向けて準備開始!

てんにしようとしたけどじゅうにした海風奏です。2学期始まります。


何故、こうなった。そう言う他なかった。


「アタシはな、あんたに言いたいことがあんだよ…」


顔を赤らめこんなこと言う軽くつり目で、金髪ショートヘアのザ・女番長という見た目も格好もそのものの女の子が俺の胸ぐらを掴んでいる。

恐怖を覚える。まるで好物を捕まえたライオンの如きその眼差しに。

嗚呼、神よーーーー


遡るはおよそ1ヶ月前。2学期がスタートしたら辺。


***


クラスの陽キャの女子さんが教壇に立っている。黒板に書かれているのは『文化祭の出し物について』。


「どうする!意見ちょうだい!」


「カフェとか?」


「お化け屋敷でよくね?」


「縁日とか楽そうじゃない?」


「可愛い使い魔ちゃんこのクラス多いし、使い魔メイド喫茶!」


「えー、それはどーだろ」


………はっ!いつの間にかラファのメイド姿を想像してしまっていたっ!いかんいかん。

そんな風にあまり参加意欲がない感じでいると、隣からつんつんと突かれた。

席替えでたまたま隣になった涼音だ。


「どうした?」


「何がいい?って思って」


「うーん、何がいいかなぁ」


「…メイド?」


「ありよりのあり」


「ありじゃんかそれ」


「まあね」


「…私のメイド姿は?」


「見たい。欲を言えばラファと涼音のツーショットがいい」


「欲張りだなぁ」


と言って、涼音は声を抑えて笑う。それに釣られて俺も笑みをこぼしてしまう。

それにしても、本当に何をするんだろうか。今のままでは、決まりそうにないぞ?

と、思って黒板を見るといつの間にか案が纏まっていた。やればできるんだな。


「よおし、じゃ1人1票ね!絶対どこかで手挙げて。じゃまず、お化け屋敷」


「…おけ、じゃ次……」


投票の結果普通にカフェをすることになった。


***


それからもまあまあスムーズに進み、役割分担が終わった所でLHRが終わった。本格的な作業の開始は明日からになるそうだ。

俺の役割は厨房。パンケーキ焼くだけの簡単な仕事だ。

何処か適当に手伝ってもいいと言われたが、どーするかな。裁縫関連できないことないけど。まあいっか。


「理央君」


「ん、涼音か。帰ろっか」


「うん。ねえねえ理央君?」


再度呼ばれる涼音の方を見ると、目がばっちりと合った。なんだか少し微笑んでるし。


「なぁに?」


「裁縫できる?」


「一応人並みには」


「じゃあお洋服作るの手伝って。理央君は言われた通りに縫えばいいだけだから」


何かと思えば、手伝いか。てか服作るのか。本格的だなあ。


「ずっと?」


「うんん、今日だけでいいよ。2着作って見本にするだけだから。それでそれと説明書みたいなの?作って服飾部の人に渡せばおっけ」


「へえ、涼音裁縫得意なの?」


「うん!唯一の特技!」


と、胸を張り主張してくる。


「そっか。わかった。手伝わせてもらうよ」


「ありがと!裁縫道具家に沢山あるから、私の家でしよ」


「うん。わかった」


***


カタカタとミシンの音がテンポ良く響く。絶賛涼音は集中力マックス。そしてラファは絶賛爆睡中。

手伝いと言ってもほとんど涼音が仕上げた。工程は一通り見たが正直何してるかわかんなかった。

俺の役割は型紙に合わせて生地を裁断。それら涼音に渡す。そしてほとんど完成した服にポッケとか付ける。だけ。


「ん、終わった」


「お疲れ様。すごいね」


「でしょ?ふふん」


胸を張ってドヤ顔。かわいい。そんなことを思っていると、涼音が物欲しそうな顔をしていた。これはもっと褒めなければいいのだろうか。

また言うのもなんかだか気恥ずかしかったので頭を撫でてみた。すると満足そうに笑ってくれたので俺は少しばかり安堵する。


「それじゃ、俺は帰ろうかな」


「えっ!ご、ご飯食べてかない?」


「作れないんじゃ?」


「お母さんが作ってくれる。だから食べてって!」


「えーっと」


「大丈夫!お父さん単身赴任に行っちゃったし!」


「迷っているポイントそこじゃないんだけど、まあそこまで言うなら」


「やた!じゃ今からお母さんに連絡するね!」


***


「ごめんね〜理央君。涼音がわがままで。ご飯はお口に合ったかしら?」


「はい。とても美味しかったです」


「ふふ、よかった」


今、リビングには僕と涼音のお母様の2人。ややあって涼音の家に泊まることとなり、涼音とラファがお風呂に入っている間に必要なもの家に取りに行って帰ってきたところだ。


「理央君は涼音と付き合ってるの?」


「いえ。まだ」


「ふぅん、まだ、か」


「あっ、それはその」


「いいのよ。理央君のこと。涼音からたくさん聞いたわ。詳しくは聞いてないから安心して」


「はい」


「あの子が理央君のこと好きなのはよくわかってる。理央君は、どうかな?親としてはそこらが心配なのよね。任せられるのか、好きなのかってね」


「俺は、好き、です。でもまだ過去に囚われていて、それを消せたら自分から伝えようと思います」


「…そう。まああの子、待つって言ったんでしょう?」


「はい」


「なら待たせちゃっていいわよ。あの子の言葉を信じればいいわ」


と、涼音のお母さんは柔らかく微笑んでそう言った。


「はい。ありがとうございます」


「理央君、紅茶飲む?」


「あっはい。頂きます」


***


深夜。俺はまだ寝れないでいた。あの柔らかな微笑みが脳裏から離れない。

母さんが生きていたら、きっとあんな笑みを俺に向けてくれたことだろう。そんなことを考えていると、もしも生きていたらという妄想が止まらなくなり、涙を流す。それを繰り返していた。


「あーーー、苦しい」


でも何とか眠らないと寝不足になってしまう。明日の授業に響くのだけは御免だ。


「あかん。水飲もう」


俺は1階に降り、食器棚からコップを1個取り出して、ウォーターサーバーでコップに水を注ぐ。軽く落ち着いた気がする。

俺はなるべく音を立てないようにお借りした部屋に戻る。すると何故か涼音が部屋にいた。ラファも寝ているが、いる。


「どうしたの?」


「んー、なんとなく」


「そっか」


「…ねえ、一緒に寝てもいい?3人で寝たいからさ」


「うん。いいよ」


「………ねえ理央君?」


再度呼ばれる俺の名前。俺は少しきょとんとしてしまった。それを見た涼音はちょっとそっぽを向いた。


「何かあったら言ってね?私、理央君の味方だから」


「あ、ありがとう」


「うん!よし、じゃあ寝よっか」


側にいてくれる人がいる。その事実が俺の心を穏やかにしたのか、すぐに眠ってしまった。

もうすっ飛ばして文化祭当日にするのもありかなと考えてます。文化祭の準備とかほんと何にもイベ起きないですし。

多分次回は「最弱の文化祭」ですかね。

お楽しみに!

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