第49話 僕らの野菜戦争 第12話
「それでこれから話あいに行こうとおもとるんよ」
そう言いながらその雰囲気はとてもおだやかと呼べるものではなかった、どこか狩りを始める獣そのものの気配である。
「せやから、あんさんらには話合いが終わるまでの間ここにいといてほしいんよ」
栞がそういうと部屋の扉が開き、小さくなったクロを肩車したココアがはいってくる。
「ちょうど話は聞かしてもろたで栞さん、うちらにも手伝わせてーな!!」
「ええっ? ココアちゃん聞いていたならなおさらだよ?」
圭吾がたしなめるがココアが胸を張って答える。
「ほら、所長とさっき言ってたやんか、これくらいは慣れっこだって」
ココアはそういうのだけれど、事務所が荒らされるのが慣れっこということであって、決してこういう話合いにいく事ではないと説明しようとするのだがココアは続ける。
「大丈夫やて、うちらの種族は運動能力とかたけてるところあるから!!」
さらに続けるココアに栞が答える。
「ココアちゃん、今は客人やさかいになにかあったらうち」
さらにいいかけてココアがさえぎる。
「まかせてや栞さん、バステイル星人は色々あるんやで!」
まって、ココアちゃん人間にはそういう色々ないんだけど? 圭吾が心の中でつっこむ。
「色々て、ひょっとして狩猟のスタイルの事?」
栞がたずねる。
「栞さんしってるん? せやでうちのバアちゃん直伝やさかいにバッチリやで!」
ココアが胸をはる、狩猟のスタイル? そんなの聞いてないんだけどココアちゃん!?
「そうやねぇ、昔知り合ったバステイル星人の子に教えてもろた事あるんよ」
栞がちょっと目をふせて答える。
「そうなんや、その話あとでゆっくりきかせてーな」
栞がにっこり微笑んで頷く、そしてその様子を見てやれやれしかたないかとため息をつく圭吾なのであった。




