第47話 僕らの野菜戦争 第10話
そう困った表情でテーブルの上においたのは一束のホウレン草である。
「栞さん? このホウレン草は一体?」
圭吾が栞にたずねる、どう見てもなんの変哲もないホウレン草である、首を傾げていると栞がグイグイと差し出すので手に取り軽く口にふくんでみると、眉間のシワをよせる。
「これは、野菜独特の苦味とかはなくてひたすら水っぽいですね、近所の八百屋でもでまわっていて頭悩ませていましたよ」
圭吾がそういうと栞は頷く。
「そうかいな、あそこの近くいうたら青葉の青果店やねぇ、あそこが卸してる畑田の会社は良い野菜扱いはるからたよりにしてたんやけど・・・」
「いつのまにか、このような野菜が出回るようになったと」
「そうなんよ、けどまぁ犯人はあんさんのおかげで見当ついたんやけど」
栞にそういわれて、はっとする。
「まさか、あの依頼の封筒ですか?」
圭吾がそういうと栞が当たりと指をたて頷く。
「当たり、ほら封筒もっていったところ覚えてはる? なんぞタニシ取りにいきはったやろ?」
「ええ、まあそうですが、何か関連が?」
「まあまあ、今度はこれを見ておくれやす」
そういいながら今度は茶色の粉末が入った小瓶をとりだしてくる。
「こんどは何です?」
圭吾のその問いに小瓶の蓋を人差し指でくるりと撫でながら答える。
「これはな、栄養価がものすごーく高くて、爆発的に成長を促す栄養剤なんよ」
そう言われてはっとする圭吾。
「なるほどだからタニシがあんなに増えちゃったんですね、おそらくは分量を間違えたかなんかしたんですね」
「その通り、そしてこの栄養剤を野菜に使うとあら不思議、野菜があっという間に収穫できるんや」
栞がおどけてみせるが、少し恐い顔をする。
「せやけど、こんな水っぽい野菜ができるんや、おそらくはこういう野菜を大量に流して、信用落とすつもりなんやろなあ」
栞が少し目をつり上げた感じがして、圭吾は少しゾクッとする、さすがは頭領と呼ばれているだけはあると心底納得するのであった。
「信用落として、その物流を乗っ取るつもりなんですかねぇ」
圭吾がお茶を飲みながら呟くと、栞が答える。
「まあ、そういうところやろねぇ、そろそろシロちゃんがくるから詳しい話はそのときに」
栞がそう言うと同時にタイミングよく部屋のドアをノックする音がきこえシロの声がするのであった。




