第19話 迷子の迷子の仔猫ちゃん第13話
「へぇ、そないやったんかえ、たいへんやったねぇココアちゃん」
「いえいえ、探偵ゆうてもこんなんばっかですし」
乗せてもらった車の中で、後部座席で2人座っていた。
「お茶くらいしかないけど飲みよし、あんな事あって喉もえろうかわいてはるやろ」
「お、おおきにです」
(えっと、この人はなんでこないに優しくしてくれるんやろか、はっ! まさか騙して売り飛ばすとかあらへんやろか)
ココアは少し動揺していた、相手の名は栞といい、いろは街ではちょいと名のしれた人だという、身なりも上品そうだし、かなり格上の相手のようにも思えた、それなのに同じような獣型とはいえ自分によくしてくれるのだろうかと。
そんな雰囲気を察してか、運転手の女性が答える、彼女もまた栞と同じように狐の耳をはやした大人の女性だが、こちらは黒色の髪と耳、そして着物をしていた。
「安心するですの、頭領は敵対するもの以外にはやさしいですの、それにココアはかわいいから特別やさしいですの」
それを聞いて、栞とココアが顔を真っ赤にする。
「@ξψφδ」
いきなりすぎてココアが思わず母国語がで、顔を手でおおって真っ赤にしてしまう。
「クロちゃん!! もうそんなんいわんといて恥ずかしいやないの!」
そう言いつつも栞も、顔を真っ赤にして尻尾をふるが、まんざらでもなさそうにいうのであった。
「いややわ、気にせんといてやココアちゃん、場を和ます為のクロちゃんなりのジョークやねんから」
そういいながら栞は今度は尻尾ならず手もはたはたとふりはじめる。
「あ、はい、いえ、気にしてませんから」
つられてココアもはたはたと手をふりだす。
「えと・・・はい・・・」
2人の空気が微妙になったところで車が止まる。
「ついたのですの」
クロがそういうと、席から降りココアの側のドアを開ける。
「もっと話たかったけど、堪忍やでココアちゃんほなね!」
栞がブンブンと手を振る。
「はい、栞さんおおきにです」
そういうとココアは一礼をして、管理局の白い建物に入っていくのであった。
「はぁ、ココアちゃんかわいかったなぁ」
「それに気が動転してたとき、少しバステイル語喋ってた気がするですの」
「クロちゃんほんまかぇ、気ぃつかんかったわ、ほなら色々ききたかったわぁ」
「名刺ありますし、またあえるのですの」
「せやね、そのとおりやな」
「はいですの」
そういうと、クロは運転席に乗り込み"いろは街"に車を走らせるのであった。




