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とある世界の少年少女  作者: 橘葵
第一章  一から紡ぐ物語
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第八話  二度目の邂逅、修悟の記憶

「もしかして、あなた、異世界転移してません?」


青葉ははっきりとそう言った。


「--はい?」



修悟は、ついさっきまでの出来事を回想していた。

謎の誘拐事件が起こり、青葉と、菜々葉と清美と組んで解決してしまおうと作戦を立て、乗り込みに行ったが、もう遅すぎた。

多分都市を出たころに起こったものが、梨花と美乃里が巻き込まれた爆発なのだろう。


梨花と美乃里が故意的な爆発によって死亡したと思われた世界で、青葉たちはただ悲嘆に暮れていた、という事までは、修悟もはっきりと覚えていた。

その後、本当に信じられないことなのだが、青葉に頼まれ、神に願い世界を巻き戻したと思われる。


「えっと…青葉って呼んでいいのかな…」


巻き戻った後の世界で、転移直後の青葉との距離感を覚えていなかったので、修悟はとりあえず呼び捨てで呼んでみる事にした。

同い年だ、と言っていたので、案外すんなりと受け入れてくれるかもしれない。

修悟は、簡単に受け入れてくれるのではないか、と青葉に期待した。

案の定、青葉は困惑した顔で、


「別にいいですけど、私たちってどこかであった事ありましたっけ…?」


と言った。

刹那、青葉は顔を真っ赤に染めて言った。

よほど恥ずかしかったのだろうか、と修悟は少し反省した。

ところが、返ってきた言葉は、修悟にとって全く予想しえない言葉だった。


「これは申し訳ない。前の世界では迷惑かけてごめんね。」


今はまだ慣れないのであろう崩した言葉で、青葉はそう言った。

まるで修悟の体験を共有していたかのように。

ただ、そんな感覚を修悟は不思議に思って青葉にこう言った。


「別にそんなに気にしてないよ。それより何で俺の経験まで読み取ることができるのさ。」

「私は『人』の記憶が読み取れるからね。読み取れることに時間の軸なんて関係ないよ。」


青葉は、あっけらかんとした口調でそう言った。

確か、修悟が初めて青葉に出会った時もそんなことを言っていた。

だからこそ、修悟と青葉はペアを組んだんだと、衝撃の連続で忘れかけていた記憶を、修悟ははっきりと思い出した。


とはいっても、青葉と修悟の関係は奇妙なものだ。

なにせ、青葉のほうは出会って五分ほどしかたっていないのだ。

それなのに、どうやら青葉は修悟の記憶の中の青葉を演じようとしているのか、修悟の記憶で形成されている青葉とほとんど変わらなかった。


「それなら話は早いね。これから起きること、青葉はもう視えていたろする?」


修悟は、これから起こる事を言っておいて、先手に回って解決してしまおうと思った。


「本当に信じられないけど、これから?梨花と?美乃里が?誘拐されてしまうの?」


青葉は、驚愕と不安が入り混じったような口調でそう言った。

修悟は、信じられないけど本当だよと、青葉の視えた記憶を肯定して、


「そうなるから、俺達で解決してしまわないか?」


そう言ったのだった。




_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*


青葉は、少し前まで初対面であり、どこかよそよそしい雰囲気が漂っていた修悟と、

すぐに打ち解けられたような感じがあった。


青葉が視えた修悟の記憶は青葉にとって驚きの連続だった。

なにせ、異世界転移まででも自らが視えた記憶を疑ったものだ。

それだけでも驚くべきことなのに、世界の巻き戻しまで加わっているのだ。

常人であれば修悟を連行し、研究対象になってしまうのではないか。

青葉は、少し不安に思った。


そして、世界が巻き戻る前の記憶であろう物が青葉に見えた時、驚きを隠せなかった。

身近な人が誘拐される。そんな事が実際に起こりえるのか。今日一日で何度目になるかわからないが、視えた記憶を疑ってしまった。


前回の世界の結末を視た時、青葉は、修悟を守ってやりたい。修悟とペアを組んで生きていきたい。

そう思ったのだ。

なぜだろうか。本当は修悟が、青葉たち三人を救ってやる、と誓ったはずなのに。


そう思っていた時、修悟はこう言ったのだ。


「俺達で解決してしまわないか?」


青葉にとって、その提案は渡りに船だった。


「もちろんだよ。」


青葉は、条件反射でそう返したのだった。







_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*


そのあと、修悟は意味はないかもしれないが、と前置きして、自らの経緯や、能力についてを青葉に語り始め、いかに自分が役に立てないか、ということまで言ったのだった。

そして、前の世界の結末に至るまでの話と、修悟なりの考察を述べた。


青葉から見る修悟は、自分のことを下げ、相手をかなり上げて語る、そんな良く言えば謙虚、悪く言えば自分がなかなか肯定できないような少年のように見えた。

謙虚なことはいいことなのだが、自己肯定感が低いの域まで達してしまうと少しうっとうしいな、と感じてしまう。


別に、そこまで自分のこと否定しなくても…と青葉は思ったが、良く思ったが経緯が経緯だ。多少修悟の自己肯定感が低くなってしまうのは仕方いのないことなのかもしれない。

そのことについては、経過を見守る必要があるな、と青葉は思いながらも、まずは話を進めなくてはな、と、修悟に向かって話し始めた。


「前の世界では、菜々葉と清美も一緒に行ったのだが、どうするか?」


修悟は、これからどうやって行動していくかを、青葉と一緒に決めようとしていた。

青葉は、そんなやる気の修悟を見守りながら、頑張ってみないと…と気合を入れるのだった。

人は多いほうが、たとえ戦闘には役立たない能力持ちでも少しは心強いかな、と思い、一緒に行くことにした。


「もちろんいいよ。となれば、呼んでこようか。あの二人、一緒に住んでるし。」

「じゃあ、お願いしてもいいか?」


菜々葉と清美は一緒に住んでいて、生活パターンもほぼ同じなので、スケジュールが合えば、呼んでくることも容易いことだ。

そのことを言い終えたとき、修悟は驚いた顔をして、


「菜々葉と清美は一緒に住んでるの?」


と聞いてきた。

青葉は、あの二人にもいろいろあるんだよーと言って、それでは連れてくるねーと言って、家を出たのであった。





_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*


青葉は,菜々葉と清美を連れて帰ってきた。


そして、いきなり本題へと入り始めた。

青葉は、修悟の能力や、前の世界での経緯を話した。

そのあと、作戦を立てようと、菜々葉と清美へ話を振った。


「別にいいけど、敵?を倒せるあてはあるの?」


菜々葉は、命に関わり得る話であるからか、今までには考えられないほど慎重だった。

青葉は、そんな菜々葉の普段見せない姿にに驚きながらこう言った。


「前は、どうやら時間が足らなかったらしいからね。今度は修悟の言う時間までに敵が倒せるようにしたら成功すると思う。」


そう。前の世界では、到着した時すでに遅しだったのだ。

なので、修悟は敵に関する記憶をほとんど持ち合わせていない。一つだけ持っていることと言えば、

広範囲の氷結魔法を使う人がいる、ということだった。


それを聞いた菜々葉は、修悟に向かってこう言った。


「修悟…君でいいのかな?敵の情報って全然わかってないの?」


修悟は、困惑した顔で、


「俺も敵を実際に見たわけでもないから、全然敵について分からないんだ。少しでも分かったら皆の助けになるんだけど…」


と、口ごもる。

そんな三人の会話を見ていた清美が、静かにこう言った。


「…まあ、やってみないと、分からない…」


青葉たちは、確かにそうだよねーと笑う。

青葉は、これからどういう風に行動していくかを話し合おうとして、時計を見やると、午後一時になっていた。


「誘拐される前に助け出すんだったら、もう遅いかもしれないんだよね…」


青葉は、最悪の事態を想定してそう言った。

もし、梨花と美乃里を誘拐された後に助け出すのであれば、タイムリミットは多分明日の正午過ぎなのであろう。

青葉は、どっちにしろ時間が足らなさすぎなんだよ、と言った。

それを聞いた菜々葉は、


「誘拐される前に連れ戻したとしても、狙われていたら結局一緒なんだよね…」


と、少し困ったように言った。

狙われていたら、結局同じ結末になってしまうかもしれない。

青葉は、大きな決断を下すことにした。


「じゃあ、明日に敵のところに乗り込みにいこっか。」


場の空気が凍りついた。







昨日は更新できなくて申し訳ないです。

これからも、こんなことがあるかもしれないですが、どうぞよろしくお願いします。

てか来週テストなんだよな…テスト週間だと執筆の時間が取れないんですよ…


そして、感想を募集してます。少しのことでもいいので、送って、作者のモチベーションを上げて!笑

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