第三話 神の優しさ
木下修悟は平凡な中学生だった。そう、つい2時間ほど前までは。
どうしてなのだろう。本当にわけのわからないことの連続だ。
少し前、神を名乗る少女と会話し、異世界に行けと言われ、実際にたどり着いたのだが、いま一つ実感がわかない。
そう、違和感があるものの、実際に修悟が住んでいた世界と変わらない早朝の風景がそこにはあった。
「まったくもって、どうすればいいかわからねぇな…」
魔法が使える世界と言えば、中世ヨーロッパの世界をイメージしていたが、どうやらこの世界は違うらしい。
「とりあえず、神の女の子が言っていた、記憶を見ることができる少女を探さないと…」
と、少し焦りながら、修悟は、近くにあった掲示板に目を通した。
どうやらこの世界でも言語は日本語らしい。
少しほっとした修悟は、張り紙に目を通してみることにした。
だいたいは、新しいサークルの勧誘や、自治関連の張り紙だったが、所々、魔法関連の張り紙もしてあった。
修悟は、やはり前までいた世界に似ていても魔法があると違うなと思った。
これからはこの世界で、魔法を使って生きていくのかと心を躍らせたが、しかし、まずはあの少女を探さないと何も始まらないな、と思った。
「あっ」
その時、ふと一つ気になる張り紙を見つけた。
『悩み事相談
私の能力を使って、できる限り相談を受け、解決したいと思います。
もし、困っていることがあれば、気軽にメールしてください。
ちなみに、相談は無料です。きっと役に立てると思いますので、お願いします。』
修悟はあの神の少女の言っていたことは本当かもしれないと思い、もし違っていてもいいからとりあえずこの状況を誰かに相談したいと思い、とりあえず下に書いてある所にメールをしようと思った。
しかし、修悟は今、携帯を持っていないのだ。
異世界に転移した際、持っているものといえば学校にいつも持って行っている鞄と、部活の用意位のものである。
せっかくのチャンスだったのにな…と諦めかけていたところ、ふと鞄の中に違和感を感じた。
「あれ、スマホなんて学校に持って行っていたっけ…」
スマホを学校に持っていくようなことがあれば、一発でクラブ停止のペナルティを受けることになる。なので、修悟はいつもスマホを学校に持っていかないように注意していた。
ということは答えは一つである。
「あの神様、もしかして俺がこの世界で困らないようにスマホを持たせてくれた…?」
修悟は本当にあの神に感謝した。
スマホがあるので、あの張り紙に記載されていたメールアドレスにメールしてみることにした。
そうして、物語は一話に戻り、上川青葉と出会う事になる。
修悟サイドはこれで終わりです。
ただ、物語の都合上、青葉サイドと修悟サイドがちょくちょく入れ替わることとなると思います。
そろそろ、本題に入っていくので、よろしくお願いします。