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とある世界の少年少女  作者: 橘葵
第一章  一から紡ぐ物語
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第二話  初めの前のお話

少し前の話をしよう。



木下修悟はごくごく普通の男子中学生である。

公立中学校に通っており、部活に所属。塾に週4日通っており、忙しいながらも中学2年生という時期を精一杯楽しもうとしていた。


時は2日前、木下修悟はいつものように部活を終えて学校から帰宅していた。

修悟は今日も塾があってめんどくさいなと心の中で愚痴りながらも

行きたい高校に行くためだもんなと一人で納得しており、塾に行くことは別に苦ではなかった。

あと入試まで16カ月。これからは勉強も頑張らないと、と思っていた。


そんなことを考えていると、家に到着した。

いつものように家のチャイムを押したのだが、返事がない。

今日は出かけてる日だったけ…と少し不安に思いながらも、修悟は鍵を使ってドアを開けた。






「あんた、誰?」



少女が、玄関で立っていた。




その少女はゆったりとした衣装に身を包んでおり、独特の雰囲気を漂わせていた。

とんでもなく美少女であり、修悟が今まで生きてきた中で一番美しい人といっても過言ではなかった。

とりあえず話をきいて、穏便に出て行ってもらわないといけないなと修悟が思っていたところ、少女が言った。


「私は、神であるもの。あなたは、これから別の場所に行ってもらいます。

拒否権はありません。絶対ですよ。」


まったくもって世界は意味がわからない。

どうしてこうも突然変な事を告げられなければならないのか。

修悟は意味がわからないと反論しようとしたが、体が固まって動かない。

これが美少女が持つ能力なのか。

そんな困惑した姿の修悟を見ながら、自らを神と名乗った少女は、


「あなたには、私のいる世界を変えてほしいのですよ。

あなたにはその資格がある。私たちが設定した能力を使いこなすことができると判断した。」


と、真剣な顔で言った。

まさかとおもった。ずっと普通の中学校生活を送っていたのが、この一日で世界を変える人である。

もしかしたら、世界を変えた暁には、勇者とかと呼ばれたりするのだろう。

修悟は、なかなか使いこなせない能力というものはどんな力なのだろうと少し不安に思ったが、

あの神に期待していた。


「あなたの能力は、もしもあなたが過去に戻りたいと願った時、世界を2日前まで巻き戻す能力ですよ。この能力は、世界に干渉するので、私たちの世界の住人が使いこなすことは不可能です。あなたは、私たちの住んでいる世界で使いこなす適正値が高いのですが…」


少し不安げに、少女が話した。

時間巻き戻す能力というのは一体何なんだ。こことは違う世界に行けるのなら、魔法ぐらい使ってみたい。そう反論しようとした時、自分の家の景色が変わっていることに気づいた。

青とも黒ともいえない、そんな不思議な空間に二人は立っていた。

修悟はもう後戻りできないんだなと思いながら、それならば神にもらえるという能力を隅々まで聞いて、使いこなしてやろうと思った。


「あの…その能力ってどういう感じなのでしょうか…」


さっきは固まって動かなかった体も今は動く。その気になれば逃げることも可能かもしれない。ただ、直感が修悟に告げていたのだ。もう後戻りはできないと。

少女は、少し嬉しそうな顔で、


「あなたに与えられる能力は、さっき言った通り、端的にいえば時間を巻き戻す能力です。

少し長くなりますが、詳しく説明しても大丈夫ですか?」

「構わないですよ。というか詳しく説明してください。正直、僕の命にかかわりかねない問題なので。」


少女はこう続けた。まずは、あなたがこれから行ってもらう事になる世界について説明しなくてはならない、と。この世界は、戦の神によって支配されているため、ずっと戦争が続いている。

そんな世界なんていやだと思い集団で乗り込みに行ったものも少なくはなかったが、残念ながら、神を破ったものはおろか、互角に勝負できた者もいないといわれている。と、少女は話した。


「ただ、この世界から20年くらい前に送り込んだ人は、戦の神を満足させることができた。

だから、あなたも、きっと世界を変えられる。

頑張ってほしいな。私も、陰で見守っているから。」


というか、自分の他に異世界に送りこまれた人なんているのか。

少し期待を交えた顔で、少女は言った。

そんな期待をかけられても…とおもった修悟は、


「僕一人で世界が変えられるなんてことはあってはならない事だと思うのですが…。というか、そのことと、僕の能力にどんな関係があるんですか?」


と言った。すると、少女は少し困ったような顔をして、


「私たちの世界では、魔法を使って戦闘します。それは、戦の神も同様です。ですが、魔法だけだと、いくら世界一の魔法使いでも戦の神を破ることはできません。

それと、私たちの世界では、生まれてくるとき、ひとつ、能力を持っています。

その能力は、魔法の力を増幅させたり、自分たちを敵から見つかりにくくするなどというような能力があります。大体は戦闘に役立つ能力ですね。」


と言った。やはり、なかなか修悟の能力との関係性が見えてこない。ただ、魔法がある世界。そんな世界でこれから生きていかなければならない。という事がわかった。

しかし、少し引っかかる点があったので、修悟は少女に聞いた。


「あの…僕って魔法使えますか?」


少し緊張しながら聞いた。もし全然使えなかったらどうしようと考えたが、使えたら楽しいだろうなと期待もしていた。すると、


「使えますよ。というか、使えなかったらどうやって戦の神を破るんですか。

魔法の適性がある人を探すの大変だったのですよ。」

「いや、その…僕の能力を使ってどうにかならないものなのでしょうか…」


少女は厳しい目線を修悟に向けた。

それは、自らの苦労を不意にはしたくないという気持ちと、修悟に本気で期待しているという気持ちが垣間見えた。


「じゃあ、あなたの能力の説明に移りましょうか。」


と少女は続けた。


修悟の能力は、時間を巻き戻すという能力で、一回巻き戻しを発動させると、世界を二日前に戻す事ができる。ただし、一回巻き戻すと、二日たつまでは、巻き戻しても同じ時までにしか戻ることができない。ただ、記憶を自分だけが持って戻す事ができる。他の人のことはあまり気にしなくても良い

ということだ。


そんな、孤独な戦いが強いられる能力。修悟は、一人になるのは辛いな、と思っていると少女は、


「巻き戻る地点は私が精一杯干渉して、決められるようにします。まあ、二日前のどこかになるでしょう。後は、本に少しだけ私が世界に干渉して、できるだけ最善の位置に巻き戻るようにするので、もしかしたら意図せぬうちに巻きもどってるかもしれません。」


少女は、本気で修悟の事を手助けする気だった。

いや、本気でその世界を変えてほしいだけかもしれない。

ただ、やはり一人というのは辛いと思った。たとえバックアップがあったとしても。


「あの、僕はずっと一人で戦っていかないといけないのでしょうか…」


修悟は言った。

少女は続ける。


「戦闘にはあまり適さない能力持ちの人もいるのですが、そういう人だと、もしかしたらあなたの記憶を共有してくれるかもしれません。私もできるだけ人に出会えるように手助けはしようと思いますが、あんまり期待はしないでください。」


記憶の共有という能力を持っている人もいるのか。本当にその世界は何でもありだなと修悟は心の中で思いながら、そんな人に出会いたいなと心から願った。


「その人に出会うための手掛かりとかったあったりしますか?。あったらぜひ教えてください。」


この少女が知っていることはありえないかなと思いながらも、修悟は少しの期待を込めて聞いてみた。


「どうやら、その少女は能力を使って相談屋を開いています。転移した先にどこかに張り紙があると思います。たぶん、その人に出会わないと、一人ではいつか壊れてしまうと思うので…まずは最優先でその人を探してください。」


と、少し不安げに話した。

修悟は、一人ではいつか壊れてしまう能力だなんて…と思いながらも、とりあえず転移したら真っ先にその人に会わないと、と思った。


「では、そろそろ説明も終わりです。転移作業を始めますので、そこに立ってください。」


少女が指したところは、長方形の箱のようなものがあった。

修悟は言われたままそこに立つと、

ああ、元の世界に帰る事が出来るか聞くのを忘れたなと思った。







「それでは準備ができました。無事世界を変えられることを心から願っております。

それでは、いってらっしゃい!」




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