~お父様搜索1~
……書斎ってどこ。
昨日、書斎に行くと決めたため部屋から抜け出した私は、お父様の書斎の場所が分からずにさまよっていた。
住み始めて2年以上立ってるのに、未だにわからない場所のほうが多いとか……広すぎやしませんかね
まあ、私がほとんど部屋から出なかったのが原因だと思いますけど……
覚えてないだけで、このくらいの年だと外に出ないのが普通なのかな。そんなこと無いと思うんですが
それにしても、どこだ……。
結構歩いたはずだけど、それらしき部屋が見つからない。
体力の限界が来る前に見つけ出さなければ
……………………………………
……良く考えてみたら書斎があるかどうかも知らないや。
そこにお父様がいるのかもわからないし
前世のイメージで勝手にお父様が、書斎にいると思ってました。
今までの努力って一体……orz
となると、お父様の居場所は誰か人に聞くしかないのかな
書斎なるものが存在するかどうかも知りたいしね
…………誰に聞けば良いのだろうか
まず、アンナは論外ね。連れ戻されるから。
他の使用人の人も連れ戻されるかもだからなしで
お父様は行方不明だし
お母様に至っては今日は家に居ないし
ーーあれ、私の味方いなくない?
………………え、どうすんの
私は革命さながら自由を掴み取らなければいけないというのに
まあ、とりあえず進みますか。ここにいてもアンナに捕まるだけだ
私はまた城の長い廊下を歩き始めた
…………………………
それにしても、今日は人に会わないね
運がいいのか悪いのかわからないけど
しばらく歩いてみたが誰にも会わない。
「だれか~いませんか~」
返事なし!と。ホントに誰もいないや。どうするかねぇ
「ちょうりばにでもいってみるか……」
そう、呟いて私は調理場に足を向けた
調理場の場所は、今日までの脱走時に確認してあるので迷わずに進むことが出来る
5分ほど歩くと調理場の前につく
中には入らないで、調理場の様子を伺うと
調理場の中では、何人かの料理人の人達が忙しそうに作業をしていた。
お昼ご飯が近いからね。
いい匂い……。じゅるっ
午前中、大分歩き回ってお腹が空いていた私は、料理の匂いに誘われて調理場の中に足を踏み入れた。
料理人の人達は作業に集中していて私には気づかない。
……つまみ食いさせてくれないかなぁ
調理場の中を食べられそうなものを探しながらうろちょろする。
完成して机の上に並べられた料理に手を伸ばす
……届かない。机高いよ
なんとかして食べようと、机の周りをくるくると回っていると
うわっ
誰かに後ろから脇の下に手を入れられて持ち上げられた。
「これで取れますか?お嬢様。」
持ち上げられたおかげで料理に手が届くようになった。
「りょーりちょーありがとー」
私を持ち上げてくれたのは料理長だった。
少し悩んでから料理の1つに手を伸ばす。
……うん、美味しい。
「おいしいっ!」
私が笑顔でいうと
「それは良かったです。」
料理長は笑ってそう返した。
私を床に下ろすと、料理長は私と向かい合う。
「お嬢様、これからは必ず私たちの誰かに声をかけて下さい。ここには包丁などの危ないものもありますし、火も使っています。
つまみ食いをしに来るのは構いません。というかむしろ歓迎します。でも、お嬢様にお怪我をさせるわけにはいかないのです。分かりますね?」
「……はい、ごめんなさい。」
怒られちゃいました。
料理長は私が素直に謝ると、笑顔で私の頭を撫でる。
「次からは気を付けて下さいね。……もう少したべてきますか?」
「うんっ」
私が頷くと、料理長は私の後ろにまわり脇の下に手を入れようとする
「お嬢様~っ!どこですか~!」
アンナの声が聞こえてくる。ヤバイっ!今日はまだ捕まるわけにはいかないんだ!
「りょーりちょー、アンナがきたからわたしもういくね!」
私は、料理長にそう言うと調理場の出口に向かう
「また来てくださいね~」
料理長の声を背に私は駆け出した。
お父様の居場所聞けば良かった……。
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