~任務情報収集!~
まだ短いです。次から少しずつ1話の長さを長くしていこうと思っています
目を開けると、人の顔があった。
「あぶっ!?」
驚いて私が悲鳴を上げると、私をのぞき込んでいた人も驚き飛び上がる。
「び、びっくりしたぁ。」
若い女の人の声だ。いや、女の子かもしれない。
「お嬢様ぁ。おはようございます~。」
ゆっくりと、優しく私に話しかけてくる。まるで赤ちゃんに話しかけるように。……いや、赤ちゃんだったわ、今。体を確かめてみるも、やはり赤ちゃんのままだ。
「ノアお嬢様ぁ。今日は1歳の誕生日ですねぇ。」
女の子は、前世の私と同じくらい。つまり15歳前後だね。赤毛で緑色の目の色をした可愛い子だった。
緑色って、ファンタジーみたいだね。あとメイドだよ!メイド!侍女っていうよりメイド!って言ったほうがなんかテンション上がるよねー。上がりませんか、そうですか。
それはともかく、これで私が転生したことが確定した。
どうやら私はノアっていう子に1歳で転生したらしい。……お嬢様ってのには触れてはいけない気がする。
いやー、欲しい情報満載の一言ですな。ありがとう!知らない子。
「誕生日パーティーは、今日の夜ですよ~。……1歳の赤ちゃんって何て言ってるか理解できるのかなぁ。」
よし、知りない子、略して知子さんと呼ぶことにしよう。パーティーってことは、ドレスとか着ちゃったりするのかな。私の美少女力見せたるでー!…………赤ちゃんでしたね、今。あと美少女力って何さ。
「あー、うーああ!(理解出来てますよー。後、家族構成を詳しく!」
何もわからない状況は、不安なので情報収集を行ってみる。
「どうしたんですか?お嬢様。」
そうでしたね。情報収集とかそれ以前にまず、まともに喋れませんでした。……それでも、伝えたいことがあるんだ!!届け、この思い!
「あー、うーう(やあ、そこの可愛いお嬢さん。これから僕と、お茶でもどうだい)」
……そんな目で私を見るなぁ!ち、違うんですよ。これは。べ、別に本心が出ちゃったとかじゃないんですよ!ジョーダンですよ。冗談。これから多分、お世話になる人だから打ち解けやすいようにさ。ホントだよ。
「今日は、たくさんお喋りしますね~。昨日は私が、少し外に出て戻ってきたら白目むいて気絶したように眠っててびっくりしましたよ。」
驚かせたようですみません。昨日は色々とショックな出来事があったもので。……それにしても、ホントになにも伝わらないよ。当たり前かぁ。
ちょ、ちょっと止めて
「やっぱり、ふにふにですねー。」
こ、これ。私の可愛いほっぺたをつんつんするでない!な、泣いちゃうよ!私。赤ちゃんなんだもん。全然恥ずかしくないしー。……ごめんなさい、嘘です。恥ずかしすぎて泣きそうです。
しょうがないので、そのままつんつんさせとくことにする。
落ち着くと昨日のことが思い出されてくる。
ーー私、死んだのか。
転生してから、無理してテンション上げていたけれど、冷静に考えると結構辛いものがある。急に死んじゃったから家族にお別れも何もしてないし、まだやりたい事もやらなくちゃならない事もたくさんあった。
そして何より、美奈の目の前で死んでしまった。
謝りたい。私が、あの時素直に降りてさえいれば良かったんだ。
そうすれば車にも轢かれることなく、こんなことにもなっていない。
それでも、美奈は責任を感じるだろう。あの子はそういう子だ。
人が目の前で死ぬ。それも直前まで自分が喋っていた親友がだ。どれだけのこと何だろうか。私なら耐えることが出来ないだろう。後悔し続ける。あの時、もっと強く言っておけばとか。無理やりにでも降ろせば良かったとか。
一生後悔し続ける。一生だ。美奈の人生にずっとついてまわる。死とはそういうものだ。
私のことなんか忘れて欲しい。そう、思う。だけどそれと同時に忘れて欲しくないとも思う。我が儘だ、自分勝手で最低で傲慢だ。何様なんだと思う。
ごめん。
ごめん。
ごめん。
ごめんなさい。
だんだんと、私の目に涙が溢れてくる。止めることができなくて、涙は頬を伝い流れ続ける。
「お嬢様!?す、すいません。」
メイドの子に抱き上げられ、必死にあやされる。
私はいつまでも、いつまでも泣き続けた。
あの時から耳の中でずっと響いていた美奈の泣き声は、いつのまにか聞こえなくなっていた。
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