プロローグ
今回初めての投稿となりますので暖かい目で見てやってください。
「ええ!?お前、53点て」
周囲の視線がこちらに集まる。
反射的にたった今返ってきたバツ印ばかりの答案を後ろに隠す。
「な、お前なんで言うんだよ!」
勝手に人の答案用紙を覗き込んで哀れみの目を向けてきたのはクラスメイトの成上龍矢。
イケメンでクラスのムードメーカー的存在であり、運動神経抜群、要領が良く学年でもトップクラスの成績を誇っている。
よって、モテる。
まあ、これだけ揃っていてモテないというのが可笑しい話ではあるのだが。
いや、今問題なのはそこではない。
この点数を如月さんの前で聞かれてしまったことだ。
そう、あの如月さんの前で。
如月美雛、艶めく長い黒髪をなびかせ、学年トップの成績を100M10秒58の脚力で刹那にして攫っていく彼女は、まさしく究極の高校生と言っても過言ではなかった。
そして今も、平然と100点の答案を手にしている。
「もう駄目だ。お前のせいで絶対バカって思われたよ。」
そううなだれながら龍矢に目で訴えかける。
「大丈夫。お前の残念な学力くらいとっくにバレてるって!」
「う、そうかもしれないけど...」
「ったく、そんな心配すんなって。お前にはアレがあるじゃねーか。」
龍矢がニヤニヤ笑いかけてくる。
はっ!そうだった。俺には、この霜月綾人にも如月さんに誇れるようなものが一つだけあった。
何か至らぬ点がございましたらバシバシ言ってくださいw