プロローグ
忘れられない恋。
それは、毒のような甘美な物。時に人を惑わせ、酔わせ…そして、心を奪う。
小さな吐息が漏れる。何故、自分がこの状況になっているのか痺れた脳では思考が出来ない。でも、考えなければ…その考えを読んだかのように彼の動きが激しくなって刺激が強くなる。自分の奥が強い刺激で気持ちよくなるのが感じると、吐息も喘ぎも一層激しくなってしまう。
「…ゃ…やだ…」
その気持ちよさに何かが迫り来るのを感じて思わずでた言葉。
その言葉を聞き逃すはずもなく。彼は激しい動きを止めてしまった。止められた事で、もどかしさを感じているのが分かっているのか分からないが彼は私を見て耳元で囁いた。
「嫌?」
低い声とその言葉に心臓が脈打つ
のが分かる。次の瞬間、私は息が上がる中言葉を発していた。
「…嫌…じゃない…っ?!」
その言葉を待っていたかのように…まるでご褒美のように…彼は再び激しい動きで私を快楽へと運んでいく。
私と彼は、恋人ではない。愛を囁く事もない。だけど、何処かでそこに愛があるような雰囲気を出す私達。
セックスフレンドとそんな簡単な言葉で片付けられない。それぐらい密接な関係。
果てる瞬間、手を強く重ね合わせて情事後には優しいフレンチキスをする姿は愛し合う恋人の様にも見えるだろう。
…ただ、ひとつ言える事は私が忘れられない恋の毒に犯されてしまった事だけだ。
忘れられない恋には毒がある…。