モテる男
中学生の彼はとてもモテた。顔立ちがよく、背もたかく、声もいい。
そして彼は、そのことをよく理解していた。それなのに決してチャラくなく、真面目で誠実で、学校の成績もよかった。
そのためいろんな女子から告白された。しかし真面目な彼は、まだ中学生で男女交際することは早いんじゃないかと考えた。高校生になるまで恋愛はしない。今は勉学に励もう。高校に入ったら彼女を作るんだ。と、それまでクラスメートや下級生からの幾数もの告白を断った。
それなら男子から嫌われそうなものだが、持ち前の明るくて楽しい性格の彼は、男子からも人気があった。
自分の容貌が他の人たちより優れていることを知っている彼は、高校にはいったら美人でかわいい女子を彼女にしたいと考えた。自分と釣り合うのはそういう女子だ。おまけに頭のよい子がいい。
だから彼は、偏差値の高い有名進な学校を受験した。そして、みごと合格した。
いよいよ彼の待ち望んだバラ色の高校生活がはじまる。当然まわりは頭のいい生徒ばかりで、家柄のいい者が大半。容貌だけをのこし、彼の希望に添う条件は満たされている。
入学初日。彼を見つめる他の生徒たち輝くような目。すぐに、かっこいい彼を周囲がとり囲んだ。予想通り。なぜなら彼はモテるのだから。しかし彼は絶望した。
彼が入学したのは男子校だった。