4:雅な紫の面接
「【都築紫】24歳。中卒」
就職の面接でこんなにふくれっ面してる奴もいねえだろ、って感じぐらい、俺はしていた。――いや、してると思う。なにせ、自分の顔は見えない。ぜひ見たいぐらいだったが、目の前にあるのは鏡ではなく、自分の年齢の倍はあるか、その下か…ぐらいのオッサンの顔だった。
「……漢字は?」
「は?」
――何で、こんな事になってんだか…。
入って1時間超えたか超えないかぐらいで、こんなことになるとは…。マイペースな美少女中学生に連れて来られ、飯を食った。金も無えのに……。美味かったが。そしたら、店員が現れた。(こっちも中々のマイペースだ!)――以上、前回までのあらすじ。
その店員が「現在無職?」と、強気な態度――顔を近づけてきた――――な、もんだから、思わず頷いた。
――そしたら、
「ここで、働くね?よし!」と、勝手に納得し、「雅さーん」と呼び、顔を出したのがこの目の前のオッサン。俺を見るなり、――この話が聞こえていたらしく――
「俺、荻田雅。「萩」に、よく間違われる「荻」に、――気を付けて!――田んぼの「田」、で、「荻田」。平安時代みたいな名前の「雅」、一文字。で、「荻田雅」。ここの調理担当。というか、一応店長。――君は?何て呼べば良い?料理出来る?」
と来た……。
――そりゃあ、無銭飲食で捕まってガタガタ、ガミガミ言われるより、働かされるほうが良いかもしれねえが……。――それにしたって!!
「だから、名前の漢字。どうやって書くの?――この街は初対面の人には絶対訊くよ?」
――そういえば、先刻、2人とも、ついでにこのオッサンも、漢字の説明していたような……。
「…っていうか、名前聴いてそのリアクション!?」
「……何が?――いや、だって漢字聴いてない…」
――あくまでも、そこなんだ…。何か先刻から反応がおかしい……。
「都、築く、で、「つづき」。紫と書いて、「ゆかり」」
――こんなもんか?一応、あの2人の説明みたくしてみたが…。「荻田雅」は、下を向き、フッと笑った……。ように見える。――まあ、それはそうだよな。
大体、この後返ってくる反応は想像つく…。 ――と、思った矢先…
「へー、良い名前!だねえ、親父!」
「――ん?あ…、ああ!そうだねえ。「都築紫」君か。美味しかった?ご飯。――というか、お帰り。司」
メイン4人の名前が出せてホッとしてます。長らく開いてしまいました。申し訳ない…。ここまで読んでいただけてありがとうございます。いつもより短いですが。
名前を気にしすぎていたからか、作品中も名前の関心で終わってます。あくまで、雅さんは2つの事しか興味ないみたいです。