2:残飯無し。
――何が、どうなっているんだろう…。
俺は昼飯を食いながら、そう思った。
「昼飯」とは言っても、いつも通り、独りで食ってはいなかった。
いつも通り、質素なもんでも、なかった。
「美味しいでしょう、ここのご飯。よく食べに来るの」
――ああ、確かに美味い。
目の前の美少女は口いっぱいにご飯を食いながら――ちゃんと、合間に喋りながら。――俺に話しかけてくる。一言、二言ではあったが。俺が無言でも大して気にしてはいないようだった。
「ふう。食べた食べた。もういいよ」
うわ、空だ。魚の天ぷらのセット頼んで、キャベツも残してねえ。皿の上に乗っかってんのは、ほぼ調味料。ソースにレモンにドレッシング……。
「よく、食うなあ」
あ、思わず呟いてしまった。俺の一言に、本人はキョトン、とした顔で、
「そう?普通よ」
と言った。
「でも、そこまでキッチリ食べる人もそう居ないでしょうね。――あなたたち、は別として。結構残す人だっているもの。だから、作る人にとってはさぞかし、作り甲斐があるでしょうね。残すのが嫌いなんていうカッちゃんみたいなお客さん相手は」
「円さん。私は普通に食べてるだけよ。――それより、円さんもお昼?」
――普通だろうか?
そんな疑問をよそに、俺の感情を代弁した女性と少女の会話はどんどん、進んでいく。
「ええ、今はそんなに人もいないし。雅さんからお昼を頂いても良いって」
「そうなの。じゃあ、ゆっくりお話し出来るわね?少し、話したいことがあって」
「ええ、良いわ。じゃあ、お隣良いかしら?」
どうやら、俺に訊いたらしい。
――出来ればあまり近付かないでほしい。
そう思った。理由は判らない。ただ漠然とそう思った。ただ、近づくな、と。
だが、口から出た言葉は違った。
「……どうぞ」
「じゃあ、失礼します」
そう言ってその女性は座った。
改めて眺めるが何故かは判らなかった。
――というか、この女性確か、この店のウェイトレスだよな。この少女に連れられて入店した時はまだ人も多くて、「いらっしゃいませ」という声しか聴いてない。
「それで、お話しというのは何かな?夏摘ちゃん。料理、不味かった?それだけ食べていても君ならあり得る」
――あり得るのか!
「もちろん、違います。その前に確認しておきたいんだけど…」
そう言って少女は…こちらを向いた?
「自己紹介、お互いにしてませんでしたね。今更ですけど…」
ここまで、名前持ち越すか!という感じになってます。申し訳ない…。下の名前だけみんな、出ましたね。
のんびりした展開の上、拙い文章ですがよろしければこれからも付き合って下さい。