1,幕開け
独りの方が良い。
そう信じてた。楽だった。
繋がりとか、そんなもん。
ろくでもない、要らない。
―――独りでもやっていける。誰も何も必要ない。
そう思っていた。
―――いや、そう思い込もうとしていたのだ。
人を傷つけるしか能がないから。
その前の感情なんて、意味を為さない。
その後の感情なんて、役に立たない。どれだけ……。
何を思っても。
―――何になろう?
あの人はもう、居ない。
―――美味そう……。
こうして入口に立っているだけで判る。
ここがどれだけ、美味い店か。
腹減っているからか、そう思うのは?
「入らないの?」
手に持っている袋は本気で怪しい。
これは、そろそろどうにかしねえと。限界が近い。
「ねえ!入らないんですか?」
それなのに、腹も減っていく。明らかに良い匂いが、それを助長する。
何でこんなところに立ってるんだろう、俺。
たまたま。理由は――あるとしたら――そうとしか言えない。
――とにかく、ここは一旦、離れよう、ここから。
だが、遅かった。そう思った瞬間、だった。
――え、女!?って、おい!!
俺は髪の長い女に手を引かれ、店に入っていった。
初めまして!志水燈季と申します。
この話、実は短編として出してしまい、少々変更して連載として出しています。(短編の方は削除してしまいました、申し訳ありません。)こんな経緯があっておきながら、長い連載になるかと思います。今回は、主人公の名前も何も出て来ていない、いわばプロローグ的なものです。あらすじが予告になってしまっています。
こんな作者と作品ですがこれからよろしくお願いします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。