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white snow―リメイク版―  作者: 紅騎士と黒猫
Hasemiya Ren 2
20/20

#20

「もうそろそろ起きてもいい時間じゃないかしら」

 女が枕元で呟く。

 僕は大きなあくびをしてみせた。

「もうお昼の1時よ。年寄りのおじいちゃんじゃあるまいし」

 女の皮肉っぽい嫌味に、僕は聞き捨てならんと横目でちらっと女のほうを見た。

「なんだって?」

「なんでもないわ。さ、はやく起きなさい」

 彼女はフランシア。彼女こそこ理想郷(アルカ―ディア)を生涯懸けて求めた女。そして、僕にとって最大の敵。

「君がここにいるってことは、ここは夢の中か?」

「どうやらそのようね」

「何故――――――」

 僕は固唾を呑んだ。

「何故あの時、僕を止めてくれなかったんだ?」

 フランシアはなにも語らなかった。

「どうして君は……」

 目の前が暗くなっていく。僕はとてつもない絶望感に襲われた。


「もう手遅れよ。なにもかも」


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