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white snow―リメイク版―  作者: 紅騎士と黒猫
Hasemiya Ren 2
19/20

#19

まさかこんな真夜中に来るとは思わなかった。

そうか、奴らはロボットなんだ。昼、夜なんて関係ない。

トーニョは鉄パイプで必死に抗戦していた。

奴らは頭を砕かないと死なない。くそっ。誰なんだ!!こんなロボット作った奴は!!


「蓮、後ろ!!」


スノーにそう叫ばれて、気づいたときには、アンドロイドは床に倒れていた。

トーニョが鉄パイプで頭を殴ったおかげだ。

僕は、トーニョに礼をいうと、素早く車に乗り込もうとした。


「ねえ、懐中電灯を持ってきて!!」


そう由梨にいわれ、僕は隣の部屋に駆けこんで、部屋中を所構わず調べた。

机の引き出しに懐中電灯があり、僕はそれを腕に抱えた。

そのときだった。扉が急に閉まる音がして、僕は驚き、慌ててドアの向こうにいる人間に助けを求めた。

が、誰も応答しない。おいおい、まさかそんな……。

僕はここへきて初めて、あの男女に上手く騙されたということに気がついた。


「くそっ」


僕は悔しさのあまり、ドアを思いっきり蹴った。

ドアは鈍い音を立てただけで、びくともしなかった。












「おい、蓮は?」


スノーが訊いてきたとき、トーニョは初めて蓮がいないことに気がついた。

しかし今助けに行くのは無謀と思われた。

すでに車は、7、8体のアンドロイドに囲まれている。

それを追い払うだけでも精一杯だ。

ようやく、車のドアが開けられる状態になったが、それでもアンドロイドたちが襲ってきて、なかなか車の中に入れない。

すると、グレイが小型の銃を発砲した。


「なんだ、銃があったのか」


「4発だけ残しておいた」


「なるほどな。さ、早く乗れ」


トーニョは皆を急かした。

グレイ、由梨、譲司、スノー、トーニョの順に、車に乗り込むと、運転席のトーニョは車のアクセルを勢いよく踏んだ。

猛スピードで走りだした車は、アンドロイドを撥ね退けていった。


















「……っ。くそ……」


何度試みたが、ドアは開かなかった。

このままでは奴らが入って来る。そうなると二度と出れない。

スノーたちは?きっともう遠くに行ってしまっただろう。

しかし、あの譲司と由梨は要注意人物だ。わかっていたはずなのに……。

自分の鈍感さを責めながら、僕はここから早く出なければという焦った。


ガシャンッ――――――――――――


僕は息を殺した。

奴らか?それとも……。


ガシャッ、ガシャガシャッ――――――――――――――


扉が……開いた。

僕は近くにあった懐中電灯をぎゅっと握りしめた。

小さいものでも、使い方によっては武器にはなる。

扉の隙間から黒い影が見える。

僕は深呼吸をして――――――。


「スノー!?」


飛びかかろうとした僕に驚いたのか、スノーは目をまんまるにして、口をぽかーんと開けていた。


「大丈夫か?」


「えっ……ああ。まさか助けに来てくれるとは思わなくて……奴らかと思った」


「そうか。さ、早くしろ」


外に出ると、車があった。

僕は一番奥の席に座った。そこには二人の男女の姿があった。


「大丈夫だった?ごめんなさい。私、気づかなくって」


「……いいんだよ。別に」


今はまだ問い詰めない方がよさそうだ。

このペテン師女。

僕は心の中ではそう呟きながら、彼らの前ではつとめて笑顔に接した。

車は山道を抜け、でこぼこの道路に戻った。

その間にも車は大きく揺れた。

戦場の跡は何度見ても痛々しいものだ。












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