甘くて苦い
掲載日:2026/09/02
流した涙を絞って飲み干したなら
それはきっと苦い水
目を覆いたくなるような現実を全て溶かし込んだような
そんなひどい味がする
だけどもっとひどいのは
心にもない嘘をつく
わたし あなた
その嘘は鈍ったままの刃のようで
触れれば消えない傷になる
いつか語った夢は
甘い甘い綿菓子のように
舌の上で幻と消えていく
声の限りに探し求めても
返るものなどない
返るものなどない
分かってはいたけれど
背を向けたまま歩み去れない
自分の弱さを踏みにじりたくなる
甘くて苦い
混ざりあった虚構と現実
重ねた嘘の数だけからめ取られる
失望に失望を塗り重ねて
元の色味も分からなくなる
濁り切った色が真っ黒になっていく
おまえの分だと差し出された現実に
顔をそむけても
私は結局それを飲み干す
甘くて苦い
望まぬ何かを飲み下して
じわじわとその毒に蝕まれても
その毒に染まったりしない
真っ黒に塗りつぶされて
絡みつく嘘にどれほど縛られても
その闇さえも笑い飛ばして
私は自分さえも欺きとおす
甘くて苦い すべての思いを飲み干して
何ごともなかったかのように笑って見せる
それだけが真実のように
それだけが価値であるように
定義づけられたのだから




