1話
「ミック、君にはパーティを外れて貰う」
ミック・リングストンの最も恐れていた事が起きた。今組んでいるパーティからの解雇。つまり戦力外通知だ。
「お願いします! もっと頑張りますから、まだパーティに居させて下さい!」
「悪いけれど、僕たちももっと上を目指したいんだ。今度入る冒険者は戦力になってくれる。君も自分の事は分かっているだろう?」
今のパーティにもお情けで居させてもらっていたようなものだ。出来る事と言えば雑用と荷物運びくらい……まだ子供である自分がお荷物だって事は理解していた。
「でも、でも……!」
「冒険者には安全な薬草採取なんかの依頼がある。それを受ける人に頼んで付き添って貰えばいい」
しかし、ほとんどの採取依頼は新人冒険者が一人でやる事を想定している。当然貰える報酬も一人分、それ以下であることが殆どだ。それなのにパーティを組んで分け合ったら、パン一個すら買えるか怪しい。
ミックにはどうしてもお金が必要だった。彼は町の教会が運営している孤児院で暮らしている孤児の一人だが、その孤児院の経営が芳しくないのだ。孤児院を出て働きに行った先輩たちにも援助を頼んでいるが、彼らにも己の生活がある。孤児院に寄与できるほど余裕もない。だから、育ての親である神父様の反対も押し切って、町の冒険者ギルドで冒険者として登録し、働きに出た。冒険者はほぼ自己責任だが、ミックの様な子供でも一応働く事が出来る。パーティに入れて貰って、受けた依頼の報酬で少しでも孤児院にお金を入れたかった。
「しかし、新人を入れてさらに君を雇い続けて、パーティの人数が五人以上になると維持にも費用がかかる。分かってくれ」
「……分かりました。わがままを言ってすいませんでした」
これ以上迷惑はかけられない。彼らも生活が掛かっている。とぼとぼとミックは冒険者ギルドを出る事にした。
「残念だったな小僧。今度はガキ共で集まってパーティでも組めばいいさ!」
意地悪な他の冒険者から野次とバカにした笑い声を背中に浴びながらミックは外へ出た。町では本来15歳以上にならなければ、孤児院を出て働く事は出来ない。今の孤児院には12歳の自分の他はみんな年下で幼い子たちばかりだ。彼らが路頭に迷わない為にも、一番年長の自分が頑張らなければならない。ミックはそう思っていた。
「こうなったら、僕一人で依頼をこなさなきゃ……!」
新人用の採取依頼でも数をこなせばきっとそれなりに報酬が集まるはずだ。魔物がいるから一人で町の外には出てはいけないと言われていたが、背に腹は代えられない。神父様には内緒で,、ソロのまま採取依頼をやっていこうとミックは決めた。




