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 『平穏な生活と、命令という名の、』

 

「し、シリウスさ……あの、私、シリウス、の魔法で動けますし、…それにご飯くらい自分で食べられます……」


「何を仰るのですか、シオン様。ワタクシのかけた治癒魔法は免疫機能の向上を促すもの。ポーションに比べれば即効性はあるものの一時だけのものです。

それに本来の貴女様の身体はすぐに動くにはあまりに身体に負担がかかりすぎます。

 まずはこの様に胃腸に優しい、ぬるくした白湯と

ミルク粥を食さねばなりません。


身体を作るのは食べ物ですからね。だから何の問題もなくワタクシめに世話を焼かせてください!ね!」


朝、チュンチュンと鳥たちの囀りが聴こえる。

シリウスがシオンと屋敷で過ごし、早1週間が経過していた。


シオンが主になってすぐ、彼女の為の部屋をぱぱっと用意し、洋服も買い揃えて…無論、入浴と着替えはシオン自身でしたが。それ以外はシオンが健康と言える体になるまでシリウスがそれはそれは〝献身的に〟看病という名の、仕え世話する喜びに浸っていた。


今日も今日とて、自分で食べられるのに…。と申し訳ないような、で照れくさくなっているシオンの隣でスプーンで粥をすくいゴリ押しして食べさせていたシリウスはそれはそれは幸福そうであった。


__


時が過ぎるのは早い。1週間前まで自分は死の淵を彷徨う身であったはずの人間なのに、今こうして普通に会話も滞りなくして、未だシリウス曰く身体の調子は整っていないから、と言われるものの彼の魔法で一時的に普通に動けている。まあ日常に必要な動作の間だけで普段はベッドで腰掛けて、部屋を歩いて窓辺に腰掛けるくらいなのだが。


こんなにも穏やかな日常を過ごせるだなんて思ってもみなかった。


シオンは窓を空けて新鮮な空気をいっぱいに吸い込む。広い屋敷、窓から見下ろす庭と門の向こう、

森に覆われた木々が、丁度、梅雨明けでキラキラと

水滴が眩く光を放っていた。


「わあ、…綺麗。」


窓の縁に手を置いて眺めていると、部屋の扉を換気のために開けていたので、シリウスが通りかかれば一応扉の前のところで立ち止まり、優しい眼差しを送られる。



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