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エピローグ

新宿三丁目。

いつもの雑居ビル五階、田所探偵事務所。

事件が終わっても、部屋の中は何も変わらなかった。

机の上の書類の山も、胃薬の箱も、冷めかけたコーヒーも、昨日と同じ場所にある。

「……本当に、一歩も外に出ませんでしたね」

夏野が苦笑しながら言う。

「出る必要なかったからな」

田所は椅子に深く腰掛けたまま答えた。

「現場に行けば、俺も誰かの“見たい景色”を見ることになる。それじゃ、意味がない」

夏野は窓の外を見る。

新宿の街は、今日も騒がしく、人が溢れている。

「それでも、事件は全部、ここで解けました」

田所は机を軽く叩いた。

「人間は嘘をつく。だが、嘘は必ず“形”を残す。その形を読むだけだ」

「……最初は探偵って、もっと派手な仕事だと思ってました」

「派手なのは刑事の仕事だ。探偵は、ただ座って、人間の嘘を待つ」

田所は、また胃薬を一粒飲みながら言った。

「歩かなくても、真実の方から勝手にやって来る。こっちは、それを逃がさないだけだ」

ネオンが窓に滲む。

田所雄三は今日も、現場に行かず、椅子から動かず、ただ静かに、次の嘘が壊れるのを待っていた。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

「探偵・田所雄三」という設定自体はもう20年くらい前からありました。秘書の夏野もその頃からの設定です。

元引きニートの太った男という設定とアームチェアディティクティヴという設定はここ1年くらいにできた設定です。

田所雄三という名前の由来は古畑任三郎がある回のオープニングで言ってたセリフから。内容は「金田一耕助、明智小五郎、古畑任三郎。名探偵は苗字は洒落てるが名前はダサい」みたいな事(まぁ言ってる本人は探偵じゃなくて刑事ですが)。で、それを基に「中二病みたいなのや珍しすぎる苗字はリアリティを削ぐから、普通にありがちな苗字の中でなんとなく洒落てるのは・・・」と考えたら“田所”という苗字が浮かんだのでそれにしました。名前の“雄三”の方は今時、あんまり付けない古臭い感じの名前を考えたらなんとなく浮かんだのでそれにしました。「両親が加山雄三ファンだったからそう付けられた」っていう設定にでもするか。って思ってたんですが、20年前ならいざ知らず、今時両親が加山雄三ファンってあんまりいない気もしますが・・・。

この作品に関してはシリーズ化していく予定なんですが、事件のロジックがなかなか難しいのでペースはあまり早くはないかも。まず、金田一少年の事件簿とか名探偵コナンの様なピタゴラスイッチみたいな仕掛けは使いたくないんです。実際の事件でそんなトリック使う事なんてほぼ無いですから。非現実的なトリックを使わない、警察を無能にしたくない、且つ田所を有能にしたい。そうすると結構難しいんですよね。非現実的でない事件で警察が有能なら、警察が事件を解決するから田所の出番すらなくなりますから。他に殺人事件以外の話も書いていこうと思います。実際に殺人事件の解決を生業にしている探偵なんでいないでしょうから。なるべくリアルに寄せつつ、田所の有能さを表現できる、派手さは無いが渋い作品にしていけるように精進していきたいと思いますので、また読んで頂ければ幸いです。

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