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最上極

 

「完成しました」


 音野と冶金が小さな箱を机の上に置き、中から小さな物を取り出した。


「超小型骨伝導補聴器です」


 2人が胸を張った。


「できたのか!」


 思わず大きな声が出て自分でもびっくりしたが、ニコニコしている2人の肩を抱かずにはいられなかった。薬と医療機器という難聴治療の両輪が形になったのだ。昂る気持ちを止めることなんてできるはずはなかった。


「でも、これからなんです」


「えっ? どういうこと?」


「はい。FDAの認可を得るために臨床試験をしなければならないのです。補聴器は医療機器なので、開発できたからといって勝手に発売することはできません。当局の認可が必要なのです」


 音野は臨床試験の期間と規模を詳しく説明してくれたが、話はそれで終わらなかった。


「最上さんのご友人のお知り合いに難聴で困っていらっしゃる方がいると伺ったことがありますが、今はいかがですか?」


 一度そのことを話しただけなのに、彼は覚えてくれていた。


「骨伝導補聴器の臨床試験に参加していただければと思っているのですが」


 どうでしょう、というような表情で顔を覗き込まれた。


 それはありがたい話だったが、彼がNMEの治験に参加していること、ボストンの海岸でプラスチックごみの回収作業に従事していることを伝えると、「そうですか……」と残念そうに呟いた。

 それでもすぐに表情を戻して、「有毛細胞の毛の再生こそ根本治療です。素晴らしい結果が出ることを心から祈念しています」と心のこもった声を発してくれた。



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