(6)朗報
10日後、弾んだ声が受話器の向こうから聞こえてきた。
「私を褒めてくれる?」
轟だった。
「やったわよ。口説いたわよ。凄いと思わない?」
鼻高々の声だった。
「企画部と営業部を統括する取締役に直接頼んだの。そうしたらね」
ふふふ、と笑って「何があったと思う?」と焦らすように言ったが、そんなことわかる訳もなかった。固唾を飲んで次の言葉を待った。
「うちの取締役と河合取締役は大学の同期なんだって」
えっ、同期?
じゃあ……、
「『今すぐキチンと処理しなさい。ただ、一昨年分を今年処理するわけにはいかないし、昨年も協賛していないから、今年の分として3年分の額の協賛金をお持ちしなさい』だって」
ワォ!
「そしてね、『今から河合さんに電話するから、長崎の担当者にすぐ訪問するように伝えてくれ』って言ってたわよ」
ワォ! ワォ!
「ありがとうございます。ありがとうございます。感謝感激です。すぐに協賛金を持って河合取締役に会ってきます」
*
その週末、美麗の仕事が終わるのを店の外で待っていた。しばらく会っていなかったので少し緊張したが、それよりもワクワク感の方が強かった。
仕事を終えた彼女が店から出てくると、顔を見るなり満面に笑みが浮かんだ。そして、飛びつくように手を取って、小躍りした。
「良かったわね」
持った手を左右に揺らした。
「パパが褒めてたわよ。彼はたいした男だって」
良かった……、
「それにね、また家に連れてきなさいって」
えっ、本当?
ヤッター!
放送局と自宅への二重の訪問禁止が一気に解除された。
天にも昇る気持ちになったせいか、思わず彼女を抱きしめてキスをした。
店のすぐ外だったが構わずキスを続けた。彼女も嫌がらずにその喜びを受け止め続けてくれた。




