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紅がなにやら知っているらしいと判断したトーマ。


彼はなぜ彼女がそれを隠しているのかわからなかったが、村人たちのみに任せてしまえば、紅が傷つくことになるのではと思い、畑が荒らされた事件の解決に手を貸すことにした。


村長やおじさんたち村人はそれに賛成してくれ、夜になった今は気配を断つ達人である紅たちに見張りを任せ、近くの家で男衆で集まっていた。


彼女たちの声が上がるのを合図として、そこに向かうために…。


しかしながら、そこに当事者たるザンギの姿はなく…。


「チッ、あの馬鹿どこで油を売ってやがる!!誰のためにみんなが集まっていると…。」


「まあまあ、ジンギさん。落ち着いて。」


「落ち着け?そんなことできるわけねぇだろ!!みんな、すまねぇ。」


ジンギが頭を下げ、男たちはそれを宥める。


それを見ていたトーマだったのだが、ふと気になることがあり、隣にいた男に小声で尋ねてみることにした。


「おい、ザンギのためって…もしかして荒らされたってのは、アイツの畑だけなのか?」


「ああ、アイツの畑だけ。」


「他の畑は何も?」


「ああ、何も。」


その言葉を聴き、トーマは首を傾げる。


どういうことだ?と…。


確かにザンギの畑はトーマがここに来た時、お礼として開墾したもので、他の畑から少し離れてはいるが、それでも特別遠く離れているというわけでもない。


わざわざそんなところに畑を作る必要などなかったから。


それなのに、日中色々な人に聞く限り、そして、彼の話を聞くところによると、ザンギのそれだけが荒らされたのだとか…。


それはあまりに奇妙なことだとトーマはようやくそれに気がついた。


「…もしかしてアイツが作った作物が美味そうだったとかか?」


「ハハッ、まさか!だってアイツ畑の手入れなんてほとんどしてねぇぞ。」


「は?草取りや水やりも?」


「肥料をやったり、耕したりも…だな。」


「……。」


トーマは絶句していた。ザンギの行動に。


そして、果たしてそれが畑と呼べるに相応しいのかとさえ思っていた。


「う〜ん…確か最初ラッキーだったのか、それなりのものがいくつかできて、『俺は農業の天才だ!!』とか言って、それからは近くの森…あっ…【死の森】じゃねぇからな!そこで昼寝したり、木の実を齧ったり…。」


彼の言葉にトーマは軽く怒りを覚えていた。


なにせその畑はトーマが技の実験をしながらとは言え、丹精込めて作ったのだ。


ザンギのやつも大切にする、しっかり働くというから。


それに最初のラッキーにも心当たりがあった。


トーマはその土地に治癒魔術含め、様々な魔術を放った。後で知ったことなのだが、治癒魔術が質の良い土壌にするらしいと知り、良い別れ土産になったと喜んでもいた。


そうだというのに…。


「…ザンギ…あまり顔を合わせたがらないと思ったら…ブッ飛ばす。」


「あっ…ヤベっ…これ言っちゃダメなやつだったか?」



そんなやり取りをしていると、おじさんもそれに加わり、是非奴をブッ飛ばしてくれと頼まれたところで…。


『ワォォォォォォォーーーーーン!!!』


どうやら魔物が現れたらしい。


「行くぞ、野郎ども!!」


おう!!!


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