決して罪とは言いきれない
「これからする話、聞いても見逃してくれるか。」
そんな言葉に俺は戸惑う。
彼らは一体何を犯したのだろうか。
それとも、犯されたのだろうか。
俺とレカは11歳の頃まで、国家エリアスというところにいたんだが、人攫いに合ってマホラジアムまで売られてきたんだ。俺達を「買いたい」という人達が沢山いたらしく、オークションに掛けることに決まった。貴族が沢山集まって、俺達を掛けた。
俺は2人セットで10億5000万で落札された。
あの頃、美少年は価値が高く、貴族に落札された。
レカは要領が良かった。なんでも問題なくこなせたし、舞踏会にも連れていかれた。
でも俺はレカとは違った。
『 なんで出来ないんだ!高級な皿を割おって!しかも客の上着に紅茶を零して!この出来損ない!』
『 すみません。領主様……!』
お茶を入れる、踊る、夕飯を作る。
普通出来ない。こんな教育を受けていない少年ができるわけが無い。
『 もういい。お前は使い物にならない。お前がいなくてもこいつがいるから大丈夫だ。
着いてこい。』
そう言われて連れていかれた部屋は少し暗く、狭い部屋だった。
使い物にならないから殺される。銃を突きつけられた。そう思った時。
『 おい、舐めろ。』
……………は?目の前に突然出されたモノに俺は困惑する。できるわけが無い。こんな汚いもの。舐めれるわけがない。
『 聞こえていないのか。舐めろと言っているんだ。』
パシン。俺の頬を叩く音がした。
『 次従わなかったらこうだからな。
もう一度言う。舐めろ。』
俺は泣きながら領主様の言うことに従った。
その後も何かと理由をつけて様々なことをされた。
しばらく経って、レカが言い出した。
『 ここから逃げよう!今日は舞踏会で人がいない。大丈夫だ!ほら、行くよ。』
あの時、レカは出口に人を手配していたらしい。それがシイラだ。
あの時、レカのお陰で俺達は逃げることが出来た。
でも、その後にも問題があった。
「ごめん…殴らないでください。」
トワは変わってしまった。
時々泣きながらブツブツと呟くようになってしまった。
「今は……みんな元気だけど、レカも俺もシイラだって大変だったよな。」
俺は話を聞いて異世界に来てやるべき事がわかった気がする。
「なぁ、その貴族潰そーぜ!
これがきっと、俺が異世界に呼ばれた理由だよ!」
俺は意気揚々に発言した。
「いや、もうやったし。」
トワに白々しく返された。
恥ずかしい…。
大見得切って言った俺がバカみたいだ…。
顔を赤くしているとトワに話しかけられた。
「まぁまぁ、そう拗ねるなって!
実は俺達も目的があって旅をしてるんだよ!
俺の幼なじみを探す旅。」
「どうして幼なじみを探しているの?」
トワは答えた。
「俺と、あいつはすげー仲良かったんだ。
でも、ある日突然会えなくなって…
人が変わったようになってしまって、話しかけても返事をしなくなったし、俺達の仲は自然消滅した。
でも、俺はあいつに俺の事大好きって言わせるんだ!」
レカ達はトワの熱量にキョトンとしていた。
「いいぜ!乗った!」
俺が異世界に来た理由、トワたちを助けるためだ。
俺達は早々に旅の支度をし、旅を出ることになった。