引きこもり 髪を切りに行く
「あんた、飯部屋の前置いとくからねー!」
そう言われ、俺はパソコンの画面から目を離す。誰も二階にいないことを確認し、飯を取りに行く。
「髪、切りたいなぁ…」
そんなことを呟きながら飯に手をつける。
引きこもりニート、菅野 三葉。17歳。
中学生の時からネトゲにハマり、学校に行かなくなった。
つまり、部屋から役4年間出ていないことになる。
髪がすごく伸びている。この度、菅野三葉は、髪を切りに行くことになった。
4年ぶりの外出である。
「あんた、服置いておくからね。それ着て美容院行きなさい。」
オカンが用意でしてくれた服を着て、部屋から出ていく。深いキャップを被って。
4年ぶりの太陽。真夏の快晴。4年ぶりに外に出たやつにしてはキツすぎる。
「確か、ここの角を曲がって…」
その時だ。車が急に曲がってきた。
俺は忘れていた、カーブミラーをよく見ろという事を。
俺は車に轢かれ、一生を終えることになった。
髪を切りに行こうと思っていただけなのに、死んでしまった。
(あれ、俺死んでるんだよな…。なんで喋れるの!?これが幽霊というやつか…?)
でも浮遊感とか全くないんだよなぁ…
あ、体の感覚が戻ってきた。
「 聞こえんか!菅野三葉!もういい、お前は、美女ハーレムじゃなくて、美男ハーレムだ!とっとと異世界『 マホラジアム』に行くのじゃ!もう戻ってくんじゃねぇぞ!」
は?…
どうやら、俺は事故の直後、体の感覚を失っていて、神の話しかけに応じなかったのが原因らしい。
てかさっき、美女ハーレムって言ってたよな…
ハーレムハーレム!そう思いながら、俺はマホラジアムに転送された