42 恩人が襲撃されてた
盗賊風のやつに襲われている商人を助けることにした。
敵8人が10メートル先にいて、向こう側に商人さんの馬車と護衛がいる。
「挟み撃ちね。一網打尽よ」
「弱そうな色黒姉ちゃんがなに言ってる」
「トノサマホップ」
3メートル鉄棒が左右に張り出すように真ん中を持って持って、10メートルの距離を高速で跳んだ。
ゴンッ、ゴンッ、ドン。
異形変身封印中は、技術も何もない。防御力頼みで敵の真ん中に突っ込んだだけだが、3人を倒した。
「残り7人。右手エレキガンプラス背中電池、左手スパイダーネット」
バシュッ、バシュッ、ビリビリビリ。
スキル乱射で敵を無力化した。
電撃を食らった奴は動かなくなったが、4人は無事だ。
「あ、あの助かりました」
「良かった。ハドソンさん、無事だったみたいね」
「え?」
いけない。ヘラクレスガード発動中だった。ごまかさないと。
「ちょっと待って。魔道具を解除するから」
ここでは身体強化のみを発動し、素の姿に戻った。
「ハドソンさん、マイリの街で世話になったアヤメよ」
「アヤメちゃん」
商人さんを助けた訳は、過去に助けられたから。
生活がギリギリの薬草採取者のころ、貧乏仲間と何度かご飯を食べさせてもらった。
ハドソンさんは30歳で、遊びも現役。下心も多少はあっただろうけど、優しいし感謝している。
「アヤメちゃん、行方不明になったって聞いて心配してたんだよ。鬼の牙に何かされたとか聞いてたし」
「ちょっとヤバかったけど、何とか逃げて生き延びてるわ」
「だけど、さっきの強さと魔法のようなものは・・」
「命の危機が訪れたときの覚醒、なんちゃって。たまたまスキルに目覚めたの」
その時、護衛から声がかかった。
「ハドソンさん、すまねえ。金は払うからハイポーションはないか。ダムのやつが襲撃者に太ももを斬られた。血が止まらねえ」
「本当か。いかん、ハイポーションは切らしていた」
むーん。出番か。
私は正体を隠すため、ヘラクレスガードを発動した。
「ハドソンさん。私の素性は内緒でお願い」
そう言って私はダムさんの足に手を当て、「トカゲ再生」を唱えた。もう1人も治した。
「いでで、てて?え?え?治った」
「黒光り、戦闘力、回復魔法、アヤメ、まさか!」
「まさかって・・」
「カフドルス侯爵様が探している「クロビカリ聖女アヤメ様」とはアヤメちゃんのことか?」
「ぶっ、なにそれ」
どうもオスカー様の実家の侯爵家は、当主みずから私を「聖女」として探しているらしい。
軽い気持ちで立ち寄る気だった私とは、かなり認識が違う。
本当なら、早く侯爵家を訪れるべきだろうけど、もっと気になることがある。
「ハドソンさん、さっきの襲撃者がヤリステって名前を出してた。襲撃とどういう関係があるの?」
商人ハドソンさんは、逆恨みで襲われたのだった。
私の復讐相手、ヤリステの親が経営するダンガル商会は黒い噂が絶えないが、最近は数多くの女性の誘拐と売買の嫌疑が持ち上がっている。
当局に目を付けられ、検挙される可能性もあるという。
先代からの流れでダンガル商会はカフドルス侯爵様御用達だった。
だが、ぶっちゃけ、現商会長を嫌いな侯爵様が女性売買の疑いがある商会との取引を中止とし、ハドソンさんが務めるダークネス商会に取引先を変えた。
で、カフドルス侯爵家との取引を任せられたハドソンさんが、逆恨みしたヤリステの手の者に襲われた。
証拠?今、生きていた襲撃者に1人ずつ、質問した。
誰か1人でも話が食い違っていたら、指を折っていった。8回も繰り返したから間違いないだろう。
またも方向転換。ヤリステを殺しに行く。
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