36 クラゲユラユラ
海辺の洞窟でコウモリを見つけた。
何種類かいて、幾つかの使えるスキルを手に入れた。
もう少し洞窟で粘ろうかと思ったけど、足元が糞だらけで臭さに耐えられず出た。
「ぷはっ。臭かったけど、ソナースキルも手に入ったし頑張った甲斐があったね」
洞窟の出口と言っても、ここは海に面した崖の途中。海まで5メートル、崖上まで20メートル以上。
「水泳用のスキルもあることだし、海かな。フロッグキック、膜呼吸、ヘラクレスガード発動」
勇気を出して、裸になって海にドボンした。
◆
「おおっ、海っていいね。魚も沢山いるし、溺れる心配もないから楽しいね」
ただ、獲物は捕まらない。カエルの遊泳力では素早く泳ぐ魚は捕らえられない。
「美味しそうな魔石の匂いも感じるし、魚の魔獣もいるんだよな」
まあ、釣りでもして有用な魔石が手に入ってから考えよう。
しばらく泳ぐと群生している1~2メートルのクラゲに出くわした。
毒があるらしいけど、潜ってから見ると透き通っていて陽光に反射して幻想的だ。
「うわあ。この光景は贅沢。ん? 何か一匹だけ違うクラゲがいる。それに体の中央にあるのは魔石?」
うまそうな感じがしてきた。ヘラクレスガードもあるし、小細工なしで件のクラゲに体ごと突っ込んで、魔石を抜いた。
「ゆらゆらのクラゲだもんな。ヘンテコスキルでもいいや。取りあえず食べよう」
「根なし草」「気まま」「ドレッドヘア」などの魔方陣が組合わさって、「クラゲユラユラ」のスキルが手に入った。
「また微妙な・・一度は使ってみるか。クラゲユラユラ」
髪の毛が太めの透明触手になって、笠状となり、ユラユラ動き出した。
「うわあ、移動スキルだろうけど遅い」
まあ、楽しいからユラユラを試してると頭の上が海面から出た。
「ゆ~らゆら。へ?」
海面から出た頭に続いて、ユラユラと首まで出た。驚いていると、そのまんま胸、腹、股、膝もユラユラしながら浮かび上がり、とうとう足先も海面から離れた。
「早くはないけど、空も飛べるスキルだ」
5メートルくらい浮かんで、怖くなって下を向くと、今度は海面に向けてユラユラと動き出した。頭を水平に向けると高度を保ってユラユラと横に進んでる。
「せいぜい早歩きくらいのスピードだけど、嬉しいね」
フロッグキックで足を動かすと、小走りくらいの早さになった。
海を上から見ると、トビウオの大群が移動していた。
「あれなら空中から捕れるな。魚が食べたい」
手を下に向けて、直径5メートルの「スパイダーネット」を乱射。尻を蜘蛛変身させれば命中精度、スピードは格段に上がるが、魚は食べる前提なので・・
「うほほ。普通の魚と思ったら、トビウオ魔獣だ」
スパイダーネットごとトビウオ魔獣を回収。魚と魔石を15回収した。
「ヒレの羽根」を手に入れた。
何となく「クラゲユラユラ」と同時発動。
クラゲの浮遊力を生かし、かつトビウオの羽ばたく能力で空中滑空ができた。
「全力で走ってるくらいのスピードで飛べる。鳥との空中戦は無理でも、すごいスキルが手に入った」
なんと、初の飛行スキルは海でゲットした。
ただ、トビウオの羽根はヒレが進化したもの。私の羽根は耳が巨大化してできていた。そして頭はスキンヘッドに透明の太い毛髪。
移動中に人に見られたら、捕獲依頼が出されそうだ・・
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