31 アマゾネスのローズちゃん
私は異形変身で防御力を高めているけど、ローズちゃんを警戒している。
理由は簡単。彼女の剣なら私を殺せると思ったからだ。
「ローズちゃん、ところで、なんでここに?」
「冒険者ギルドに寄ったら、アヤメが多くの悪人に追われてると聞いて、探してた」
そして、私を見つけたのか。嫌なものも見られた。
「何か分かった?」
「ああ」
こいつとも戦うのか。
「私が理想とする高みに、お前がいる」
「へ?」
「我がアマゾネスにも奥義として「獣装」「精霊降臨」がある。強力な昆虫の力を借りる技術も多くある。甲虫術の使い手に一度技を見せてもらったが、アヤメの技能の方がはるかに上だ」
「だけど、化け物って言われた」
「飛び抜けた力を持つものは、そう呼ばれる」
「そもそも、なんでブーヨの街まで来たのよ、ローズちゃん。まだ戦いたいの?」
「違う、アヤメに謝るためだ。お前の行動に感動した」
・・心当たりがない。
善行なんて積んだ覚えがない。
「何の話?」
「最初に会った街の近くで若い冒険者3人を助けただろう」
あっ、成り行きで助けた奴らのことだ。ローズちゃん、あなたが現れたから、私は若い冒険者との交流を絶たれたんだよ。
「オークソルジャーに連れ去られた女性を助け、オークを討伐。彼らの怪我を治してやった上に、貴重な豚の素材まで渡したそうだな。その話を聞いて、感銘を受けたのだ」
「ローズちゃん重いよ。そして暑苦しい。あれは、偶然に遭遇したからやっただけ。最初は見殺しにする気だったんだから」
「それでも、彼らは心から感謝していたぞ」
う、複雑な心境の時に、異形も含めた私を肯定してくれる言葉。
脳筋バカと決めつけていたローズちゃんがくれるとは、思ってなかった。
「私は、避けられる戦いを受けて、ギルドで4人殺した」
「振りかかる火の粉を払っただけだろう」
「さっきも返り討ちとはいえ6人殺した。今も2人追加した」
「だけどアヤメは、若い冒険者を3人も助けたじゃないか」
「う、うう」
私の異形変身を見ても、何も私のことを否定しない。こんなやつがいたんだ。
「泣いてるのか?どうした、戦闘で怪我でもしていたか?」
「・・してない」
涙を止めないと。
「すまん、私が何か余計なことを言ったか。里から修行に出たあとは、空気が読めないと言われて仲間が出来ないんだよ」
「・・」
「うまく会えたし、もう去るよ。追いかけ回してすまなかった。もう現れないから、安心してくれ」
がしっ。
袋小路の奥から出てきたローズちゃんの手を思わずつかんでしまった。
「アヤメ?」
「ローズちゃん、行かないでよ。もうちょっとでいいから、一緒にいてよ」
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