30 初めての共闘
複数の異形変身を重ね、化け物となった姿をアマゾネスのローズに見られた。
お前は何者かと聞かれて困っていると、たくさんの足音が聞こえてきた。
「おっ、こんなとこにいたぞ。強引に廃墟街に入ってきた女だ」
「よくも殴りやがったな」
「よし、反対側からも仲間が来た。逃げ場はねえぞ。姉ちゃん」
通路の両側から挟み撃ちにされた。
「おっ、ウルフスイングはいねえが、女は2人に増えてる」
「どっちも若い。売ったら儲かるぞ」
かなりうるさい。
「アヤメ」
「なにローズちゃん」
「取りあえず、こいつらを片付けたい」
「同感」
まだ、まともに話してない私達だけど意見は一致した。
「誰も逃がしたくないが、どうすべきか」
「じゃあ、さっきの袋小路に入りましょ」
すんなり意図を理解してくれたローズは、私と一緒にウルフスイングと戦った路地に入った。
男14VS女2の構図。だけど、何の問題も感じない。あえて怖いというなら、ローズの一人の方が男14人より怖い。
「盗賊もどきがみんな範囲内に入った。ローズちゃん、こっち側お願い」
「承知した」
さっきと同じように、壁を使って跳ぶトノサマホップの3連続発動で、袋小路の出口に立った。
さっきと違うのは、ローズが奥に残されていること。
そして私は下半身を真っ黒な女郎蜘蛛に変身させた。
「さ、盗賊さんたち。もう逃がさないわよ」
「え?アルケニー?」
「ギルドで戦ってた女は魔物が化けてたのか・・」
殺る気満々の私だけど、ローズちゃんから声がかかった。
「アヤメ、先に私に殺らせてくれ」
「・・どうぞ」
斧か大剣が似合いそうなローズちゃんだけど、腰から抜いたのはレイピア。
「細剣とは、何よりも似合わない武器を・・」
言い終わったときには男が1人倒れて、2人目の背中からローズのレイピアが突き出ていた。
どさっ、どさっ。
剣で襲いかかる2人を優雅に踊るような動きでかわした。2人の首から血が噴き出している。
「うわあ、こっちもバケモンだ」
ローズは男達の間で躍っているようにしか見えない。だけど、男達はうめき声も上げず倒れていく。きっと、的確に急所を貫かれているのだ。
私があっけに取られていると、残りは2人になって両方とも逃げだそうとした。
「このために、私がいるのよ。伸びたお尻からスパイダーネットを食らって」
ぱしゅっ、ぱしゅっ、ぱしゅっ、ぱしゅっ。
「アルケニーの糸だ。動けねえ」
「許してくれ、蜘蛛に食われて死にたくねえ」
巻かれた男たちにポイズンニードルで止めを刺した。
「アヤメ、お前の能力はすごいな」
「ローズちゃんこそ強い。あなたの動きが見えなかった」
ほんのひとときだけタッグを組んだ。
だけど、端から見た構図は「黒い異形の化け物」と「レイピアを構えた美女剣士」。
共闘が終わった今、ローズちゃんは私に攻撃してくるのだろうか。
彼女の剣筋は見たことがないほど鋭い。
ヘラクレスガードを突き破って、私の心臓を貫くのだろうか。
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