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1 いきなり落ちていく

時間がない。急いで自己紹介をしよう。私はアヤメだ。


161センチ。おっぱいでかい。ケツはきゅっと上がっている。


少しシルバーがかった金髪だけど、今は血のメッシュが入っている。


E級冒険者。享年19歳。


魔法適正なしで家が貧乏農家だから、村を出るしかなかった。ついさっき、崖から落ちた。


以上。


◆◆


薬草を採ったりウサギを捕まえたりして、日銭を稼いでた。

金髪、ぷっくり唇で村では美人な方だったから、ギルドでもそこそこモテた。


それが仇になった。


今年は山の方で薬草が多く採れたから、崖近くで採取していた。


がさがさがさ。


「ん? なんだスライムか。あんたピンクなんて珍しい色だね」


聞いたことがあったラッキースライム。見つけたら幸運が訪れるとか、スキルもらえるとか言われている。スキルのことは、私みたいな底辺を励ますための方便だと思ってる。


「あれ?近寄ってきても、エサはないよ」


なんとなく気まぐれでピンクのラッキースライムを抱っこしたとき、奴らは現れた。


ギルドでも評判の悪い5人組が、私を包囲していた。


「何か用?」


ヤバイけど、私も命がけで純潔を守るとかってタイプじゃない。

ヤラせて難を逃れられるなら、そっちを選ぶ。


「いやな、ダンガル商会のヤリステさんが、あんたとデートしたいって言うんだよ」


最低だ。


「最近もデートのお誘いがあったけど、断ったの。大商会のご子息とEランク冒険者がデートしたら、家名に傷が付くわよ」


黒い噂が絶えない商会の、女癖が悪い長男。女子の低級冒険者が「デート」して、怪我だらけで帰ってきたり行方不明になっている。

自分だけでなく、変態貴族に女を売ることもあるという。


「ヤリステさんは、断られるのが大嫌いでな。今日は俺たち「鬼の牙」にアヤメ捕獲の依頼を出してもらったんだよ」


完全に行方不明コースだ。


後ろは30メートルくらいの崖。退路はない。

だけどこの位置なら、一点だけ道がある。


私から右斜め後ろにある大木の根が崖に張り出していて、そっから岩を伝って降りる方法がある。


変態小僧に殺されるくらいなら、そっちを選んでみたい。


「あら、ラッキースライムも一緒にきてくれるの?あなたが一緒なら、奇跡でも起こせそうね」


胸の谷間に潜り込んだ相棒と後ろに向かって駆けた。


「あっ、逃げんな。そっちは崖だぞ」


崖から滑りつつ、木の根をつかんで、つかんで、つかんで・・


初動から失敗だよ。つかみ損ねた。


下を見たら、巣穴から頭を出したバカでかいドロモトカゲが頭を上に向けていた。落ちたあとは、こいつのエサか。とことんツイてない。


「ラッキースライム、私は幸運を生かせなかったわ」


スライムだけでも生かしてあげようと思った訳でもないけど、胸に抱いた。


私の直接の死因は落下による傷か、トカゲの噛み傷か、最低の二択だ。


ゴンッ、ゴン。べしょっ!


背中に激しい衝撃を受け、目玉が飛び出しそうになった。




https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/43704478


アルファポリスで先行しています

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