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椎名 賢也 94 迷宮都市 地下12階 新たな果物

 月曜日。

 冒険者ギルドで地下12階の地図(金貨1枚・銀貨20枚)を購入して、ダンジョンに向かう。

 地下12階の安全地帯でマジックテントを設置し、常設依頼を確認した。


【ダンジョン地下12階 常設依頼 C級】

 癒し草10本 銅貨1枚

 魔力草5本 銅貨1枚

 ホブゴブリン1匹 銀貨2枚(魔石)

 フォレストドッグ1匹 銀貨2枚(魔石)

 マジックキノコ1匹 銀貨3枚(魔石・本体必要)

 リザードマンソルジャー1匹 銀貨30枚(槍・魔石・本体必要)

 ハイリザードマン1匹 銀貨50枚(槍・魔石・本体必要)

 コカトリス(クイーン)1匹 金貨5枚~(魔石・本体必要) 

 コカトリス(キング)1匹 金貨5枚~(魔石・本体必要)

 コカトリス(クイーン)の卵1個 金貨1枚(本体必要) 


 アマンダさんから事前に魔物の使用する魔法や注意点を聞いていたが、ここでまたゴブリンが出てくるとは思わなかった。

 新しい魔物を狩る気満々の沙良が、安全地帯を飛び出していく。

 地下12階は、話を聞いていた通り森のダンジョンになっている。

 最初に会敵した魔物は、やけに筋肉質になった体長1.5mのホブゴブリンだ。

 沙良がドレインで昏倒させ、脳を石化して倒す。

 そして当然ながら魔石取りは俺と旭の仕事だった。

 俺が魔石を取る間に沙良は次の獲物を索敵していたようで、魔石を取り出したのを見た瞬間に走り出す。

 

 次に会敵したのは体長30cmのマジックキノコで、アマンダさんに毒や混乱する胞子を出すから注意が必要だと言われていた。

 椎茸(しいたけ)のような見た目をしており、短い手足が付いている。

 あまり早く移動出来ないのか、よちよちと歩く姿は魔物には見えない。

 ポイズンを覚えようと倒す前に紫色の胞子を全員で受けてみたが、魔法は何も覚えなかった。

 どうやら魔法ではなかったようだ。

 毒の胞子を受けたわりに俺達の体は異常を感じず、拍子抜けする。

 高いHPのおかげで毒耐性でもあるのか?

 簡易的なステータスでは表示されない何かが、異世界から来た俺達に特典として与えられているのかもしれない。


 そんな風に考察していると、沙良が魔物をドレインで昏倒させ眉間を槍で突き刺していた。

 すると、絶命したマジックキノコの色が毒々しい紫色から茶色に変化する。

 この魔物は死ぬと食べられるようになるらしい。体内の毒性は消えるのか……。


「お兄ちゃん。マジックキノコはどんな味がするのかなぁ? 見た目と一緒で椎茸? 意外に松茸の味がしたら、嬉しいよね~。大きいから沢山食べられるよ!」


 食べられると知り、沙良は食材として使用したいようだ。


「いや、見た目通りじゃないか? ダンジョンに生っているりんごは、他の味がしたりしないだろ?」


「それもそうか……オークは豚肉、コカトリスは鶏肉、ミノタウロスは牛肉の味だしね」


 今まで食べた魔物の味を思い出したのか、沙良は少しがっかりしたような顔でマジックキノコをじっと見つめていた。

 俺は毒キノコを食べたいとは思わないが……。

 アイテムBOXには、日本産のキノコ類が腐るほど入っているだろうに……。

 態々(わざわざ)キノコ系の魔物を試す必要が、どこにあるのかさっぱり分からない。

 ちなみに胞子を受けて毒状態になるとHPが徐々に減るそうだ。

 その場合は、ポーションを飲めば治るらしい。

 ピンク色の胞子を受けると混乱して味方に攻撃するから、殴って気絶させるのが正解だとアマンダさんは笑いながら話していた。

 大抵10分くらいで正気に戻るそうだが、戦闘中に仲間から攻撃を受けるのは危険だな。

 もし旭や沙良が混乱状態になったら、ドレインで昏倒させよう。


 お次は体長2mのリザードマンソルジャー。

 専用の槍を持って出現する二足歩行の魔物だ。

 沙良がドレインを掛けた瞬間、俺はライトボールで瞬殺する。

 以前からリザードマンを見ると殺意が湧くので、沙良や旭が攻撃する前に倒しておく。

 続けて体長2.5mのハイリザードマンを同じ方法で倒し、安全地帯に戻った。


 昼食の弁当を開けると、焼き鮭、竹輪の天ぷら、キンピラ、目玉焼き(半熟)、法蓮草(ほうれんそう)白和(しらあえ)が入っていた。それを豚汁と玄米茶でいただく。

 沙良は「アイテムBOXがあるから、おかずを作り置き出来て便利だ」と言っていた。

 毎日お弁当を作るのは大変だろうと思っていたが、作り置きしているなら、それほど手間じゃないんだろう。

 まぁ食べるだけで料理をしない俺が言うのもなんだが……。

 とにかく、本当に妹には感謝している。

 幾ら食材があっても、旭と俺の2人だけじゃ腐らせるだけだ。

 これで大人しくして問題を起こさなければと願うが、思い通りにはいかない。

 何をしでかすか分からないのが沙良だ。

 俺と旭は心配で、いつかハゲるんじゃないかと思っていた。


 昼食を食べたあと、再びダンジョンの攻略を開始する。

 午後から果物を探したいと言う妹に同意して、森の中を探索した。

 (しばら)く経ってから、マッピングを使用した沙良が声を上げ、


「お兄ちゃん、みかんが生ってるよ!」


 大きな木の上を指差す。

 見上げると、オレンジ色をした実を発見した。

 それをライトボールで枝から切り落とし、両手で受け取る。

 沙良が言った通り、みかんのようだが大きさが違う。

 オレンジくらいあるぞ?

 試しに皮を()いて食べたら、みかんの味がした。

 地下12階には、りんごの代わりにみかんが生っているみたいだな。

 包丁を使わず手軽に食べられるので、子供達のお土産にしよう。

 しかしオレンジじゃなくみかんだというところに、ダンジョンマスターが日本人である気配がする。


「私はコカトリスを探してくるね~」


「あぁ、あまり遠くに行くなよ」


 地下12階に出現するコカトリスの上位種を探しに行くと言う沙良に返事を返して、俺は早速(さっそく)みかん狩りを始めた。

 気付けば旭の姿も消えていた。沙良が一緒に連れていったのだろう。

 コカトリス(クイーン)は石化の魔法を使用するらしいが、その前に魔法で倒せば危険はない。

 旭が一緒なら、もし沙良が怪我や石化しても治療可能だ。

 俺は気兼ねなく、みかん狩りに精を出そう。

 換金額が高額なコカトリスの卵は1個100万円だからな。

 沙良が全て取り尽くすまで時間がある。

 その後、2人が戻ってくるまでの間に俺は周囲にあるみかんを全部採取した。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。

応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

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