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第898話 恐竜の魔物が棲む島 2度目の襲撃

※椎名 賢也 116 迷宮都市 地下12階 石化した冒険者達 3をUPしました。

「それより姉さん。王族の俺達でも知らないステータス値を上げる飴は、どこから入手したんだ?」


 飴を()めて実際にHP値とMP値が上がった事を確認した雅人(まさと)が、(いぶか)し気に(たず)ねてきた。


「ああ、それ。私がポーションにヒールを掛けたら、何故(なぜ)か飴になったのよ。不思議よね~」


「……国に知られたら、間違いなく囲われる案件じゃないか!」


「だから、飴を渡すのは基礎値が低い(しずく)ちゃんと貴方達だけよ」


 まぁ、私と従魔達も舐めてるけど……。

 ついでにいえば、ルシファーの爵位上げのために女官長達にも渡している。

 でも元宮廷魔術師の彼女達はヒルダさんに似た私に好意的だから、口を割る事はないだろう。


「姉さんがダンジョンの罠に掛かって飛ばされたのは、その能力を知られたからじゃないのか?」


「う~ん、それはないと思う。人物鑑定が出来る人は少なそうだし、普通はLvを上げる以外にステータス値を増やそうとは考えないでしょ? 偶発的に出来た産物だから、存在を知られる事はないんじゃないかな?」


 真剣な表情で言う雅人に対して、安心するよう否定しておいた。


「沙良お姉ちゃん、ステータス値が上がる飴なんてエリクサーより貴重だよ。絶対、異世界の人間に渡さないで」


 今度は遥斗(はると)が心配そうに私を見てくる。


「うん、分かってるから大丈夫よ。取り()えず1ヶ月分の飴を渡しておくから、毎日1個ずつ舐めてね」


 そう言って2人にHPとMPが上がる飴を30個入れた袋を渡すと、双子達は大事そうに両手で持ち「早く家に帰ろう」と急かす。

 落としたら大変だとでも思っていそう。

 今日のLv上げも済んだし、魔力が減った状態では魔法も使用出来ないため、2人の意を汲んで家に戻った。


「お母さん、ただいま~」


「おかえりなさい。雅人と遥斗のLvは幾つになったの?」


 気になっていたのか、母が開口一番に双子達のLvを聞いてくる。


「Lv100になったよ~」


「まぁ、1日でLv100まで上げるなんて、どんな魔物を出したのかしら?」


 目を丸くする母に、


「ティラノサウルスとステゴサウルスと戦わされた……」


 雅人が死んだ魚のような目をして報告した。


「恐竜の魔物は強いのね! 私も明日Lv上げに参加するわ!」


 妊娠してからダンジョン攻略を中止している母が、意欲的にLv上げをしようと手を挙げる。

 出産には体力がいるから、HP値を上げておいた方がいいだろう。

 海に居る恐竜が見たいと言っていたから丁度いい。

 

「じゃあ、明日は4人でLv上げをしよう」


 4人分となると、アイテムBOXに収納した魔物じゃ数が足りないかも知れないな。

 夕食後に、島へ行って魔物を集めておこう。

 母はLv上げが出来ると知り、嬉しそうに台所へ戻って行った。

 夕食の準備をしている間、双子達にはメンバーのステータス表を見てもらう事にする。

 

「お母さん、今日の夕食も皆の分を作るの?」


 料理を手伝うために母へ声を掛ける。


「インスタントばかりじゃ体に悪そうだから、夜だけは作ってあげましょ」


「メニューは?」


「いか飯と焼売(しゅうまい)と八宝菜にするわ」


「了解、お兄ちゃんに連絡するね」


 午後5時。この時間なら、もうガーグ老の工房から家に帰ってきているだろう。

 

『お兄ちゃん、聞こえる?』


『あぁ、沙良か?』


『夕食を配達するから作らずに待っててね。昨日の食器と鍋をルシファーに持たせてくれる?』


『それは本当に助かるよ。雅人と遥斗の様子はどうだ?』


『今日Lv上げをして100になったよ』


『100!? 何を倒させたんだ!』


 驚いたのか急に大きな声を出されて、耳が痛くなる。


『島に居た恐竜の魔物。合流したら、皆もLv上げ出来るように収納しておくね』


『俺達よりLvが上がるなんて、かなり高Lvの魔物なんだな……。楽しみにしておこう』


『1ヶ月後は(あかね)よりLvが上がってるかも?』


『それは言わないほうがいいな』


 ダンジョンマスター時代、地道にLv上げをしていた妹が聞いたらショックを受けそうだ。

 

『沙良。冒険者ギルドで王子2人が失踪したと似顔絵が張り出されて、懸賞金が掛けられた』


 兄と話していると、突然父の声が割り込んできた。


『あ~、情報がもう出回っているんだ。バレないように、性別変化の魔法を使わせたから大丈夫だと思うよ? 年齢も若くなっているし』


 冒険者ギルドには通信の魔道具があるので、王都から伝達されたのか……。


『俺は寿命が縮みそうだ。性別変化の魔法があって良かったと言いたいが、2人は別人になって大丈夫なのか?』


『多分、あんまり違和感がないし』


 双子達が生前の姿になったと知らない父は心配しているようだけど、見慣れた顔になっただけだから問題ないと思う。


『いや、性別の変化は大きいだろう。これから、ずっと同じ姿で生きなきゃならないんだ。納得出来るよう、上手く説得してくれ』


 え? それを私に(たく)すの?

 召喚した責任は取る心算(つもり)だけど、普通は親の仕事じゃない?


『今は会えないから、お前に任せる』


 黙ったままでいると念を押されてしまった。 

 うん、母にお願いしよう。

 魔道具を切り、話を聞いていたであろう母に、


「だって」


 丸投げすると、苦笑しながら(うなず)いてくれた。

 この件に関しては親の領分だと思ったらしい。

 合流するまで、まだ時間は沢山ある。双子達と一緒に居られるよう、母がなんとかするだろう。

 それから焼売を包み蒸かす間に中華スープを作る。

 母が作った、いか飯と八宝菜をアイテムBOXに入れて島へ移転した。

 結界を張り、周囲をマッピングで探索する。

 人影が見えない事を確認して魔法陣を地面に描き、ルシファーの召喚を行う。

 一瞬で現れた彼から食器と鍋を受け取り、夕食を渡して家へ戻った。


「やった~、いか飯だ~!!」


 テーブルの上に並べられた料理を見て、遥斗が目を輝かせ声を上げた。

 父と同じく海産物が好きな遥斗は、いか飯が大好きだ。

 肉料理を好む雅人は焼売に(はし)を伸ばして、満足そうに微笑む。


「ここは天国だな……」


 異世界の料理に辟易(へきえき)していただろう雅人が実感を込めた声で呟き、


「だね~」


 遥斗が同意するようにウンウンと首を縦に振っていた。

 美味しい料理が食べられるなら、性別が変わっても納得してくれるかしら?

 そんな事を思い、母に視線を送る。

 すると母は、にっこり笑ってウインクしてきた。

 胃袋を(つか)むのは、懐柔するための常套(じょうとう)手段だと理解しているみたい。

 これから双子達の好物を沢山作りそうだな。

 食後にチョコレートケーキを出すと、2人は飛び上がらんばかりに喜んでいた。

 よしよし、作戦は順調だ。このままホームの恩恵をたっぷり味わわせてあげよう。


 食後に双子達を家へ送ったあと、私は再び島に行きシルバーに乗って上空から魔物を収納した。

 今のところ敵に動きはないか……。

 とはいえ、移転して直ぐに攻撃範囲から逃れるため飛翔すれば何も出来まい。

 相手の思惑(おもわく)が不明なので不気味だけど、何度も姿を消しているから移転可能な事は知られているだろう。

 あまり(おおやけ)にしたい能力じゃないから、出来れば襲撃してくれたほうが助かる。

 姿さえ現してくれたら、捕獲して口封じが出来るのになぁ~。


 マッピングで視認した魔物を全て収納して、ホームに戻ろうと地上に降りた瞬間、結界が淡く光った。

 2度目の攻撃だ!

 シルバーが反応して「ウォン!!」と鋭く吠える。

 何度も結界が光り、魔法攻撃を受けている事を知らせる。

 でも私のMP値は高いため、Lvの低い結界でも魔法攻撃には強い。

 攻撃が通じないと()れた敵が(ようや)く姿を現した。

 その数、10人。

 私1人に対して10人か……、全員にドレインを掛けアイテムBOXに収納する。

 ドレインを掛けたのは自決を防ぐためでもある。

 アイテムBOXから出した途端(とたん)、死なれてしまっては狙われた理由を聞き出せない。

 武装解除の必要もあるし、尋問するガーグ老も気絶していたほうがやりやすいだろう。

 残りの敵の人数は不明だけど、10人捕獲出来たのは大きな進展だった。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。

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