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第745話 旭 樹 再召喚 37 魅惑魔法の効果 5&王妃の行方

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 ガーグ老の合図で稽古が終了し、沙良ちゃんが(しずく)と昼食の準備を始める。

 俺は、どうにも魅惑(みわく)魔法の効果が思ったように出ないのが気になり、いい機会だから他の人にも掛けてみようと考えていた。

 女性陣は全員身内だし、ここは一番問題なさそうなゼンにしよう。

 少し離れた場所で工房の庭全体を警戒していたゼンに近付き、魅惑魔法を掛けてみる。


「姫様。御戯(おたわむ)れを……」


 すると彼は顔を赤く染め、俺から視線を()らし口に手を当て顔を背けた。

 (ひびき)と違い、こちらは魅惑魔法を掛けられたと気付いているようにみえる。

 個人によって効果に違いがあるのか?

 それとも王族を護衛する影衆達は、あらゆる魔法に耐性を持っているんだろうか……。

 

「ゼン。どうかしましたか?」


「姫様。その……魔法で私を誘惑するのは、何か意図があっての事でしょうか? 王族に対し忠誠を誓う私を試しておられるのでしたら、期待に応えるのは無理かと……」


 あぁ、やっぱりバレてるんだな。

 そして意識も、はっきりしているらしい。

 どうやら人選を誤ったみたいだ。


「ごめんなさいね。ちょっと魔法の効果を試してみたかったの。特に意味はないから忘れて下さい」


「はい。他の者には使用しない方がよろしいかと存じます」


 ゼンには効果がなかったが、魔法Lvを上げるのは相手に掛けるしか方法がない。

 影衆達に掛けても意味がないという忠告だろう。

 返事はせず手をひらひらと振り、その場を離れた。

 それからガーグ老と響を呼んで工房内に入る。


「ガーグ老。言い忘れていたけど、お母様が国を出てから行方が分からないみたいなの。もしかしたら、私の生存を聞いてカルドサリ王国へ来る可能性があるわ。もし、見付けたら連絡を下さい」


「なんとっ! 王妃様が、また国を出ておられるのか? あの方は王と結婚されても、相変わらず単独行動を止めぬで困るの。姫様に会う心算(つもり)なら、既に到着していそうなものだが……」


 ドラゴンの風太(ふうた)に乗り移動すれば、別大陸にあるエルフの国からカルドサリ王国まで1日の距離だ。

 ガーグ老と再会してから3週間は過ぎている。

 俺に会いに来るには、少し時間が掛かり過ぎているよなぁ。


「既にカルドサリ王国に到着し、魔道具で姿を変えている可能性はないか?」


 響が若干(じゃっかん)顔色を悪くして、王妃の行動を予想し口にする。

 まぁ可能性として否定はしないが、その線はない。

 

「それよりティーナの話を聞き、アシュカナ帝国に行く可能性の方が高いんじゃないかしら?」

 

 娘が生きている連絡を受けたならガーグ老達が護衛に就くと安心し、別の問題を解決しに向かったかも知れない。


「王妃様のなさりそうな事だわ。無茶をせんといいがの」


「お母様は王妃なのに、身軽でいらっしゃるから困りますね」


 そう言うと、ガーグ老と響が俺を見て大きな溜息を吐いた。

 なんか感じ悪いなぁ。


「王妃様の件は承知した。姫様も勝手な行動はせんでくれると助かる」


「娘がいるから離れるような真似はしないわ」


 ガーグ老に気付かれないよう笑顔で返す。

 結婚式のあと、アシュカナ帝国へ乗り込む気でいるのは内緒にしておかないと。

 工房から出ると、昼食を三男役が配膳しているところだった。

 嫁役の『万象(ばんしょう)』2人は動かず、恐妻家だと思われてそうだ。


「お待たせしました。皆さん、今日もありがとうございます。お昼のメニューは、『チーズバーガー』・『ナゲット』・『フライドポテト』です。それでは頂きましょう」


「頂きます!」


 娘の挨拶で昼食が始まる。

 メニューを見て響が嬉しそうな表情をしていた。


「おおっ! これが姫様の食べたがっておった『ハンバーガー』とやらだな」


 ガーグ老が料理名を聞き、俺の言った話を思い出したらしい。


「姫様! 美味しいですぞ! 付け合わせの『フライドポテト』にもよく合いますな。『ナゲット』も、このソースに付けて食べると旨い!」


 チーズバーカーに(かぶ)り付きながら、感想を伝えてきた。


「ガーグ老、『チーズバーガー』も旨いが『テリヤキバーガー』も捨てがたい! 今度、娘に作ってもらおう」


 俺はつい、姫様と言われた事を忘れ答えてしまう。

 

「そうですか! サラ……ちゃん、作ってくれるかの?」


「ええ、いいですよ」


 娘に変に思われるかもと心配したが、普通に返事をしていたから問題なさそうだな。

 妖精さんのお供え用に結花(ゆか)がホットケーキを焼いていたので、今日は誰も木から落ちなかった。

 食後、娘が迎えに来るまでガーグ老達と将棋を指しホームへ戻る。

 何か話があるようで響の家に集まった。

 夕食を沙良ちゃん達と食べられると知った雫が、美佐子(みさこ)さんから料理を教わりにいく。

 先日食べた中華が美味しかったのか、自分でも作りたくなったみたいだ。

 その調子で、どんどん料理を覚えてくれ。


 中華が(そろ)っているのに、どうして今回も鰻の蒲焼と肝焼きが俺だけ出されてるんだ?

 箸を付けないでいたら、息子が隣から食べようとし妻から怒られている。

 結花が御飯の上へ蒲焼を載せてきたので、食べない訳にはいかなくなった。


 俺は響に若返った反動で、あるアイテムのお世話になった話を聞いていたから、賢也(けんや)君へ目配せを送る。

 相手のいない彼は持っているだろう。

 俺の視線に気付き軽く(うなず)いてくれたから、後で忘れず貰わないと大変な目に()いそうだ。

 観念して鰻の蒲焼を食べる。

 味は文句なく美味しいんだよ! 精力剤の効果さえなければ……。

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