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第676話 迷宮都市 妹の召喚

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 手紙を読み終わると、ある一文が気になった。

 『冒険者がいる階層には移動出来ません』って、(あかね)は51階より下には行けないという事?

    

「あの……、これだと茜さんは51階からしか移動出来ませんよね?」


 セイさんも同じ疑問を感じたのか、今まで家族に遠慮し黙っていたようだけど質問を投げかけた。


「そこが憎い所だな。武器も防具もなくLv0の状態で、いきなり51階の魔物と戦う羽目(はめ)になった。今となっては、あれも良い思い出だよ……」


 その時の記憶を思い起こしたのか、茜は遠い目になって呟く。

 いやいや、普通に考えて無理でしょ!

 Lv0で魔物と戦うなんて無謀(むぼう)過ぎる!


「茜、51階の魔物なら相当強い(はず)よ? 武器がないのに倒せたの?」


「幸い風魔法が使用出来たから、ウィンドウォールで防御しつつウィンドボールを何度も撃った。それで最初の内は魔法Lvを上げ、一つ目の二足歩行していた大きな魔物に狙いを定め、足を徹底的に()り続けた。膝を落とし立てなくなった所で、延髄(えんずい)にLvを上げた魔法を撃ち倒したんだ。1ヶ月も掛かり大変だったが1匹倒した後はLvが一気に50まで上がったから、その後は体術を鍛え敵の持っている武器を奪い剣術や槍術Lvを上げたよ」


 何て事ないように言ってるけど、それが出来る人間はいないと思う……。

 もしかして一つ目の二足歩行した魔物はサイクロプスじゃ?

 祖父の血がそうさせるのか、武闘派の茜にとってダンジョンの魔物を倒すのは鍛錬(たんれん)の延長なのかも知れない。

 それなら強くなるのに貪欲(どんよく)な性格の妹が、ダンジョン攻略するのを楽しかったと言うのも(うなず)ける。


「茜は(すご)いわね! 私が最初に倒したのはスライムよ。それも槍で突いたら簡単に死んじゃう魔物だったし」


「私は、姉さんが冒険者をしている方が驚いた。まさか、摩天楼(まてんろう)のダンジョンを攻略してるとは思わなかったな。それに、どうしていきなり最終階層まで来たんだ? 冒険者が攻略しているのは50階までだったろう?」


 不思議そうに言われ、宝箱の中身について思い出す。


「あぁそれはね、30階で出現する宝箱の中身があまりにも(ひど)かったからよ! ビ……スケスケの踊り子の衣装と鬼のパンツなんて、もう絶対ダンジョンマスターは日本人の男性に違いないと思い殴り込みに行ったの」


 ついうっかり、兄の知らない1回目の宝箱の中身を口にしてしまいそうになり(あせ)る。

 危なかった~。

 黄金(ゴールド)色のビキニとブーメランパンツは秘密にしないと!


「宝箱? へぇ~、そんな物があるなんて知らなかったよ」


「じゃあ、やっぱり茜が宝箱の中身を操作してた訳じゃないのね。私達の運が単に悪かっただけかしら?」


「そうとも言えないんじゃない? 結果的には家族と再会出来た訳だし、『手紙の人』が会えるようにしてくれたのかも?」


 旭がそう推測を口にする。

 うん、まぁ茜と再会出来たのは確かに嬉しい。

 残念な宝箱の中身は、その対価だと思おう。


「私、今はLv55なの。Lv60になったら2人召喚出来るから、旦那さんを呼んであげるよ」


「旦那? あぁ相棒の事か……、いやあいつは呼ばなくてもいい。それより私だけ年齢が高い方が問題だ。姉さんが再召喚し若返らせてほしい」


「旦那さんはいいの? 寂しくない?」


「ここに家族がいるから大丈夫だ」

 

 やけにきっぱり言われ、それ以上何も聞けなくなってしまう。

 13年も独りだったから旦那さんの存在を忘れてしまったのかしら?

 でもそれを聞いた母の顔が真剣な表情に変わった。


「茜、それは駄目よ。子供達の中で唯一結婚しているのに、孫の顔くらい見せてちょうだい」


「母さんには、これから子供がまた増えるじゃないか」


「子供と孫は違います。取り()えず沙良に召喚してもらった後、早崎(はやさき)君を呼びましょ」


「わっ、分かった。でも子供を産むのは……」


「何か言った?」


「いえ、……何でもありません」


 母に詰め寄られ、旦那さんを召喚するのを了解したみたいだけど……。

 どうやら茜は子供を産みたくないらしい。

 旦那さんは欲しくないのかな?

 ちなみに、妹夫婦は仕事の関係上で別姓にしたらしい。

 旦那さんの名前は早崎(はやさき) 順一(じゅんいち)だ。


「じゃあ、召喚! 椎名 茜!」


 後にする必要もないだろうと、私は茜を再召喚する。

 茜の体が(まぶ)しく光った後は18歳になった姿で現れた。

 床にひらりと例の手紙が落ちる。

 私は手紙を拾い茜に手渡してあげた。


【召喚された椎名 茜様へ】と書かれた封筒 


椎名(しいな) 沙良(さら)様から、召喚された方へ

 すべての元凶は私です。

 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。

 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。

 剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。

 椎名(しいな) 沙良(さら)様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。

 また、貴方様の能力を変更致しました。

 なお既に覚えた能力は、そのままとさせて頂きます。

 

 椎名(しいな) (あかね)様の能力


【時空魔法】 

 ●アイテムBOX 容量無限・時間停止。

【風魔法】

 ●ウィンドボール 攻撃魔法。

 ●ウィンドウォール 防御魔法。 


 まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。

 最後に、このような不幸な目に()わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』

評価をして下さった方、ブックマークを登録して下さった方、いいねを押して下さった方。

読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

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