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第670話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(30階) ギルドマスターへの報告&人魚姫の衣装 

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 入場料を払ってから従魔に騎乗し、30階の往復をすれば数時間で帰還が可能だ。

 洞窟での採掘中、発見したと言えば不思議に思われない。

 シュウゲンさんはドワーフだしね。

 私は祖父にこれから一旦(いったん)地上へ出て、再度30階層を往復した後にギルドマスターに報告してもらう事にした。

 迷宮都市と同じく、独立採算制を採っている摩天楼(まてんろう)都市の最高責任者は冒険者ギルドマスターになる。

 

 事前にアシュカナ帝国の動向を知れば、打てる手が増えるだろう。

 シュウゲンさんは黄金(こがね)に騎乗してもらい、証拠品の黒い箱とマジックバッグを渡した。

 黄金(こがね)にシュウゲンさんを30階まで送った後、再び地上まで戻ってこれるか確認すると賢い従魔は「ウォン!」と一声鳴き、その場で飛び()ねた。

 攻略を中止しメンバー全員で地上に戻る。

 

「シュウゲンさん、後はよろしくお願いします。4時間後、迎えに行きますから冒険者ギルドで待って下さいね」


「あぁ、任せてくれ。帝国の思い通りにはさせん!」


 そう力強く言い切り、シュウゲンさんは黄金(こがね)に騎乗しダンジョンの入口へ消えていった。

 少し早いけど迷宮都市ダンジョンに戻ろう。

 地下15階の安全地帯へ移動し、(しずく)ちゃん達がテントに戻ってくるのを待つ。

 その間、治療を受けに来た冒険者には兄と旭が対応した。

 攻略を終えた雫ちゃん達とホームへ戻り、摩天楼のダンジョンで見付けた物を父が3人に報告する。

 それを聞いた(いつき)おじさんが、ダンジョンに呪具を設置するとは卑劣(ひれつ)だと言い怒っていた。

 

「帝国を滅ぼすか……」


 おじさんの少々物騒な発言は、聞かなかった事にしよう。

 隣で父が必死に(なだ)めていたけど、1人じゃ無理だと思います。

 テントから出て夕食の準備を始める。

 メニューは、ハイオーク肉の『カツサンド』と『フライドポテト』に『シチュー』。

 ダンクさんとアマンダさんのパーティーは、『ハンバーグ』と『キッシュ』にパンとスープのようでリリーさんとケンさんが仲良く作っている。

 食後、リリーさんに人魚姫の衣装を見せると顔を真っ赤にし(うつむ)いてしまう。

 それを見たダンクさんが、困ったような表情で口を開いた。


「あ~、サラちゃん。この衣装は、ちょっとリリーには着せられないな。そのなんだ、少し見せすぎと言うか……」


 やっぱり異世界では人魚姫の衣装が破廉恥(はれんち)に見えるらしい。

 でも、人魚姫は服を着ていないんだよね。

 衣装の変更をどうしたらいいか悩んでいると、ダンクさんがセイさんと旭を交互に見つめ出した。

 そして心が決まったのか、


「アサヒ君。リリーの代わりに、この衣装を着て劇に出てくれないか?」


 爆弾発言をかます。

 言われた旭は目を大きく見開きギョッとしている。

 女性が着るには問題がある衣装だけど、男性なら大丈夫なのかしら?

 リリーさんは旭より背が高いし体格もそれほど変わらない。

 胸の部分に詰め物をして、金髪のウィッグを着ければ童顔で可愛らしい旭は人魚姫役を(こな)せるだろう。

 折角(せっかく)作った衣装が無駄にならずに済むし、これは案外良い方法かも知れない。

 それに前回、急に振った剣舞は仕返しにならなかったし……。


「旭、人助けだと思って人魚姫の役を受けたら? 私も可愛い姿を見てみたいなぁ~。大丈夫! 絶対似合うから!」


「あら、そうね。うちの子……兄に似合いそうだわ。主役なんて素敵じゃない!」


 雫ちゃんのお母さんが同意を示す。


「わぁ~、尚人兄(なおとにい)が人魚姫をやるの? 楽しみだね!」


 更に妹の雫ちゃんからキラキラと期待した目を向けられて、旭が折れた。


「やっ、……やらせて頂きます」 


 涙目になっているのは見ないフリをしよう。

 それに、どうせ原作通り話は進まないだろうし……。

 リリーさんは人魚姫から、海で(おぼ)れた王子様を助けたと嘘を言い結婚する女性役へ変更になった。

 王子様役のダンクさんは、勿論(もちろん)そのままだ。

 台詞を覚える必要があるため、旭はダンクさんに連れられ劇の練習へ強制参加させられている。

 兄は苦笑しているけど、助けたりはしないみたい。

 旭の人魚姫姿を見てみたいのかもね?

 

 遅くまで続きそうな練習を途中で抜け出し、私達は先に就寝すると伝えテントへ戻った。

 その後、父と樹おじさんと一緒に摩天楼の都市へ移転する。

 冒険者ギルドで待っているシュウゲンさんを迎えに行くと、綺麗な受付嬢にギルドマスターから話があると部屋まで案内された。

 黄金(こがね)は私の従魔なので、同じパーティーメンバーだと気付いたのかしら?

 証拠品として渡した、呪具とマジックバッグの中身は分かっただろうか……。

 部屋に入ると、ギルドマスターのヒューさんとシュウゲンさんがいた。

 私達はヒューさんの対面に座り話を待つ。

 

「サラさん、報告ありがとうございます。提出して頂いた物を確認した所、箱の中には呪具が120個入っておりました。しかも全て色が黒い物です。マジックバッグの方は使用者権限の解除に時間が掛かるため、まだ把握(はあく)出来ておりませんが……」


 黒色の呪具は、確か一番効果が高い物だった(はず)

 それが120個もあったのなら30階の隠れ家は当たりだ。

 多分、それ以外の呪具はないと思う。

 マジックバッグの中身は、あまり気にしなくても良いかな?

 

「偶然ですが、私のメンバーが発見出来て良かったです。呪具も沢山回収したし、犯人確保に向け頑張って下さいね」


「はい。これから冒険者に(ふん)したギルド職員がダンジョンへ潜入し、犯人の特定作業を急ぎます。何とか水際で食い止められるよう尽力(じんりょく)する所存(しょぞん)です」


 うんん? 何か最後の方は、やけに改まった言い方だったな。

 深々と頭を下げ、お礼を言うヒューさんの(もと)()し部屋を出る。

 この時間、普段は冒険者の少ないギルド内に綺麗な人達ばかりいた。

 ハーフエルフの人達だろうか? 摩天楼の冒険者ギルド職員は何故(なぜ)か綺麗な人が多いようだ。

 皆冒険者の恰好(かっこう)をしているから、ギルド職員がダンジョンへ向かう所らしい。

 犯人が早く捕まるといいなと思いながら、私達はホームに帰った。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


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