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第609話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ21(摩天楼のダンジョン30階) 奏伯父さんとセイさん

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 昼食後。

 地下15階の攻略の様子を見て問題ないと判断した(かなで)伯父さんは、午後から私達と行動を共にするみたいだ。

 魔物よりアシュカナ帝国に狙われている私の方が心配らしい。

 娘は旭と兄へ任せると言い付いてきた。

 地下15階から、セイさんを連れに一旦(いったん)ホームへ戻る。

 そこで再会した2人は、お互い懐かしい顔を見て嬉しそうだった。


「ソウさんは、全然変わりませんね~」


「セイも少しは大きくなって……ないな。そういや、運命の相手は見付かったのか?」


 父同様、再会して直ぐ同じ事を聞かれセイさんが苦笑している。

 余程、運命の相手を探すと豪語(ごうご)していたのか……。


「見付かったと思ったんですが……。相手は結婚するらしく、一足遅かったようです」


 そう言いながら私の方へ視線を向ける。

 偽装結婚だというのは黙っておこう。


「そりゃ残念だったな。どうやって、(めい)達と知り合ったんだ?」


摩天楼(まてんろう)のダンジョン攻略中に会ったんです。(ひびき)さんは職場の先輩だったので、一緒にパーティーを組みたいとお願いしたんですよ」


「摩天楼のダンジョンで?」


 怪訝そうな顔をした伯父さんへ、父が現在内緒で摩天楼のダンジョン30階へいきLv上げをしていると伝える。


「そもそも迷宮都市にいないのか!? そりゃ敵にも見付からないだろう。サラちゃんの移転能力は最強だな! ホーム内は安全だし快適すぎる。日本と同じ景色を見た時は驚いたもんだ」


 奏伯父さんは、そう言いながら感心していた。


「ホーム内は、本当に(すご)いですよね~。同じ転移者なのに、ここまで能力の差があるとは思いませんでしたよ」 

 

 セイさんもホームの能力には苦笑している。

 日本円さえあれば物を購入出来るし飲食店で食事も可能だ。

 確かに破格な能力だろう。


「俺は転生者ってやつだが、転移者とどう違うんだ?」


 奏伯父さんは転生者の方だったのか……。

 なら『手紙の人』からの恩恵はないので、(しずく)ちゃんと一緒だな。

 使用出来る魔法も、魔術書で覚えた四属性魔法のボール系のみ。

 身体強化の魔法は血統魔法に近いのかも?

 私達は『手紙の人』から貰った手紙を見せ、それぞれの能力と魔物から魔法を受けると習得可能な事を教えた。


「なんかズルくないか? 魔法に関しては、やはり教会が秘匿(ひとく)してそうだが……」


 魔法と教会を結び付ける辺り、前々から思う所があったのだろう。

 この世界の人には当り前でも、日本人の記憶があれば儀式と魔術書のセットは胡散臭(うさんくさ)いと気付く。

 しかも魔法を習得すると、魔術書に描かれている魔法陣は消えてしまうのだ。


「あ~、結花(ゆか)さんも光魔法を使用出来る。彼女も転移者でLvの基礎値が73と高くMP値が多いから、教会には注意した方がいいぞ」


「基礎値が73!? Lv30でも、2,263あるって事か? Lv120の俺より娘の方が多いとは……」


 父から聞いた思わぬ事実に、奏伯父さんがショックを受けていた。

 まぁ貴族だから基礎値15だとしても、Lv120で1,815だもんね~。

 (しずく)ちゃんのお母さんがこの先Lvを上げれば、その差はどんどん広がる。

 Lv50になれば、HP/MPは3,723だ。

 初めて魔物を倒した時にLvが上がり、その時の年齢が基礎値になるのは貴族しか知らない。

 他人のステータスは見られないので、庶民は気付けなかったのだろうか……。

 気付いても黙っている人が多そう。


 知己であった2人の紹介を簡単に済ませ、摩天楼のダンジョン30階へ移動。

 奏伯父さんは雪が降っている階層にくる予定がなく普通の革鎧を着ていたので、少し小さいかも知れないけど旭のシルバーウルフのマントを渡してあげた。

 父とセイさんは魔物の討伐に向かい、私はテント内で料理を始める。

 奏伯父さんは、この階層ではLvが上がらないため私の(そば)にいるそうだ。

 現在Lv55の私も、そろそろ30階ではLvが上がらなくなっている。

 この時間を有効活用して、結婚式の料理を作り置きしておこう。


「サラちゃん。ガーグ老達は、引退した元騎士なんだよな?」


「うん。王族の護衛をしていた近衛だよ。亡くなった姫様の話をよく聞くの。あっ、その姫様も元日本人みたい」


「カルドサリ王国で亡くなった王女の護衛をしていた御仁(ごじん)か……。近衛というより、何かの特殊部隊といった感じがするけどなぁ。身体強化の魔法を使用しなければ勝てない相手には、お目に掛かった事がない。ありゃ相当、鍛えているぞ? 今でも現役で充分通用する」


「お父さんが私の偽装結婚の相手に選んだくらいだから、腕は確かだと思う。アシュカナ帝国の刺客に狙われても、返り討ちに出来る人物じゃないと難しいでしょ?」


「まぁ、そうなんだが……。そのガーグ老の従魔が何故(なぜ)、義弟の肩に乗っているのか疑問だ」


「ポチとタマは、お父さんが大好きみたい。毎週、迷宮都市から会いにくるんだよ」


「普通、従魔は主人以外に懐かないぞ?」


「そうだよね~。でも、私の言う事も分かるみたい。ポチ、テントに戻ってきて!」


 突然、ポチに指示を出した私の顔を伯父さんは怪訝(けげん)そうに見る。

 数分後、呼ばれたポチがテント内に入り私へ近付いてきた。

 右肩へ止まり、何の用? と頭を頬に付けすりすりしてくる。

 可愛い仕草(しぐさ)にメロメロだ。


「ね! 賢いでしょ?」


「そういう問題じゃね~!」


 絶叫した伯父さんはガックリと肩を落とし、


「俺の常識が崩壊する……」


 と呟き不在の父の代わりか自分で肩を叩いていた。

 あっ、よければ私が叩きましょうか?

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


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