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第592話 迷宮都市 行方不明の子供達 5 

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 誰に転生したか分かり頭を抱えていると、背後で咳払いする音が聞こえた。


「あ~、ティーナ? そろそろ一緒にいる事を思い出してほしいんだが……。突然現れた2人を紹介してくれないか?」


 あぁっ!

 沙良の父親も一緒にいたんだった!

 ティーナの記憶が戻ってから、すっかり忘れていたらしい。

 目の前に突然、見知らぬ男性2人が現れたら驚くだろう。

 しかも2人は、沙良ではなくティーナと接しているのだ。


 今まで話し掛けてこなかったのは、成り行きを見守っていたからだろうか? 

 それにしては、気配を消したように感じなかったけど……。

 私は、この状況を何と説明していいのか悩む。

 日本人である父に、前世の記憶が戻ったと伝える?

 セイちゃんは契約竜で、もう1人は世界樹の精霊王だと言ったら信じてもらえるだろうか……。


「お父さん。実は私、この世界で生きた記憶があるの。今、それを思い出したみたい。ティーナという名前なのよ」


「あぁ、その名前は俺とお前の母であるいつ……ヒルダが考えたものだ」


 ヒルダって、私の母親の名前よね?

 何故(なぜ)、父が知っているんだろう。

 それに私の名前を2人が名付けたとは、どういう意味?

 私が不思議そうな表情をしていると、父が気まずげに口を開く。


「家族には内緒にしていたが、俺は150年前のカルドサリ国王だった。その時の第二王妃が、お前の母親だ」


 何ですとっ!?

 精霊王が名前を教えてくれなかった父親が、沙良の父と同じなの?

 じゃあ、前世の記憶があるというのか……。

 同じ父親の娘として生まれたのは、偶然にしては出来すぎだ。


「初めてお会いするが、娘を育ててくれたのは精霊王だったのでしょうか? やはり娘のティーナは、エルフの守護神と呼ばれる存在だったのですね……」


 そう言いながら、父は精霊王に近付いていく。


「君がヒルダの夫か……。ティーナは巫女姫です。人族に育てるのは無理だと判断し、私が精霊の森へ連れ帰りました。ある存在に狙われているため人間に転生させましたが、転生先が父親の(もと)とは驚きましたね」


 それまで父の存在を気に留める素振りさえ見せなかった精霊王が、ティーナの父親だと知り関心を持ったようだ。

 ずっと父に対し覚えていた違和感の正体は、これだったのか。

 どうも異世界の事を知り過ぎてると思ったのよね~。

 魔物に躊躇(ちゅうちょ)しないのは、存在を知っていたのだと分かれば納得だ。


「ティーナの父親である、ロッセル・カーランドと申します。娘を育てて下さり、ありがとうございます。可能ならもう少し詳しく事情を話してもらえると助かりますが、再び記憶を封印するのは娘に危険があるからでしょう。今日知った事実を誰にも口外しないと誓いますから、どうか俺の記憶はそのままにして下さい」


「申し訳ないけど、あまり記憶が戻った状態でいるのは良くないのだよ。先に2人の記憶を封印する必要がある。セイはティーナの契約竜ですが今は冒険者をしているそうだから一旦(いったん)、元の場所へ返してほしい」


 セイちゃんをホーム内に移転させないと!


「お父さん。セイちゃんは、SS級冒険者のセイさんだよ」


「はっ!?」


 驚き過ぎたのか口を大きく開けたまま、父がセイちゃんを凝視している。


「先輩は、ご主人様の父上でいらしたのですね。気が付かず申し訳ありません」


 セイちゃんはティーナの父親だと知り、(うやま)うように一礼した。

 父はまだ混乱しているのか固まっている。


「さて時間もない事だし、先にセイの封印を済ませようか。ティーナ、後は頼むよ」


 人へ変態したセイちゃんが、高梨(たかなし) (ひじり)の姿に擬態した。

 精霊王がセイちゃんの額に文様を描き封印を(ほどこ)したのを見届けた後、ホーム内のホテルへ送り届ける。

 召喚する前どこにいたか分からないけど、日曜日なのでホテルからは移動していない(はず)


「君の記憶は希望通り、そのままにしておこう。ティーナの父親なら害はないしね。ヒルダが亡くなり、娘もいない状態は(つら)かったろうから……」

 

「あ~、ヒルダは生きています。日本人として、ですが……」


 これには、精霊王と私も呆気(あっけ)に取られた。

 母が生きているの?


「ヒルダは人族に転生していたのかい?」


「転生とは、また違うようで……。元々人間としての記憶を持ったままこの世界で転生し、亡くなった後で再び元の人間に戻ったといいますか……」


 なんだか父の歯切れが悪い。


「お母さんも、もしかして一緒なの?」


「……お前の母親は、尚人(なおと)君の父親である(いつき)だよ」


 うん?

 聞き間違えかしら?

 今、母親は旭の父親だと聞こえたけど……。


「あぁ、あの子は男性の記憶を持っていたんだね。道理(どうり)で……」


 そこで、私は考えを拒否したのか意識を失った。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


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これからもよろしくお願いします。

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