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椎名 賢也 11 C級冒険者 1

 昨日、ついに念願が叶い少々睡眠不足の朝を迎える。

 もう一生、想像だけの生活を送るんじゃないかと心配していたが、ホームは万能だった。

 朝食時、沙良にジロジロ顔を見られた気がするが無表情でやり過ごす。

 これ絶対、バレてる気がしないでもない。


 この先の異世界生活に何の問題もなくなったお陰で、今日からの冒険者活動は気力充分だ。

 早速(さっそく)、森に出かけると沙良はウルフをマッピングで探しているようだ。

 (つの)ウサギを狩るより収入が増えるからな。


 だがウルフは角ウサギより個体数が少ないようで、この日は2匹しか狩れずマジックバッグを一杯にするため角ウサギを30匹狩った。

 これでは効率が悪いから当初決めていた通り、ボアとベアが1匹入るマジックバッグを金貨2枚(200万円)支払い2つ購入する。


 (ようや)く、初めての大型魔物だ。

 ボアは牛並みの大きさをしているので、突進されるとかなりの迫力がある。

 沙良は少し怖がっている様子だったが、所詮(しょせん)は哺乳類だ。

 脳か心臓を撃ち抜けば死ぬので、眉間にライトボールを当て頸動脈(けいどうみゃく)にもう一発撃ち血抜きをすれば討伐完了。

 心臓を狙うより、眉間に当てるのは皮の損傷を防ぐためだ。


 沙良も倒したいと言うので、Lv上げに勿論(もちろん)協力する。

 頸動脈(けいどうみゃく)(かす)らせるよう1発撃ち込んだ後、ボアが倒れるのを待ち首を槍で突き刺してもらう。

 安全に狩れるようにするのは、沙良に槍術等の基本がないからだ。

 俺のように攻撃魔法が使えれば、こんなまどろっこしい方法をしなくて済むんだけどな。


 沙良にもMPが336あるが、時空魔法は(まった)くMPを消費しないらしい。

 やはり、妹の能力は桁外(けたはず)れだと思う。

 移転系の能力は、かなりMPを消費するのが普通だろう……。

 俺が読んだ異世界系の小説では大抵そう書いてあった。

 

 それがMP消費0で出来るなんて、正にチート以外の何ものでもない。

 これは益々(ますます)、妹を厳重に守る必要がありそうだ。

 貴族に知られでもしたら、まだ子供の俺達は利用される事請け合いだ。

 まぁ監禁されようが直ぐにホームに移転して、事なきを得るだろうが……。


 目を付けられると行動範囲が狭くなる。

 なるべく自由に冒険者活動をしたい俺達には、マイナス要因にしかならない。

 色々秘密にしなければいけない能力が多いので、俺達はこの世界の人間とパーティーを組むのは無理だろう。


 大型魔物であるベアを探しながら2匹狩り、途中で回避(かいひ)出来ない角ウサギを3匹狩って今日の討伐は終了だ。

 マジックバッグの空きが勿体(もったい)ないから、沙良のアイテムBOXに溜まっている角ウサギを入れ換金する。

 

 この日。

 1日の収入はボア2匹・角ウサギ20匹で銀貨14枚(14万円)となり、今までの最高金額を更新した。

 C級に上がるまで3年間は、この町の冒険者として活動する事に決める。


 

 3年間――。

 ボア・ベア・ウルフ・角ウサギを狩り続けた。

 ダンジョンへいくためにアンデッドに有効なホーリーのLv上げをしたくて、怪我人を治療する際こっそりホーリーを掛ける。

 HPの回復量は不明だが、それが生死を分けるかも知れない。


 ダンジョンは未知の世界だ。

 備えあれば(うれ)いなし。

 俺達は今まで一度も怪我をしなかったが、それは魔法で先制攻撃をしているからに過ぎない。

 沙良に接近戦は無理だろう。

 俺に至っては武器も持っていないからな。


 年収も1億を超えたので、沙良の使用している槍を鋼製の銀貨10枚(10万円)に替え、俺の盾も鋼製の銀貨15枚(15万円)に新しくした。

 今まで使用してきた物は武器を買えない子供達に渡す。


 お小遣いとは別に2人で数ヶ月に一度ホーム内の飲食店で外食したり、AVを借りるのを不審に思われないためダミーで借りた新作映画を見たり……。

 まぁ俺の偽装工作は完全にバレているだろうが、沙良は新作映画を楽しんでいたのでレンタル屋へいくのを(とが)められる事はなかった。


 男の事情に理解のある妹で良かったとしよう。

 たとえ新作映画を借りてくる度、生暖かい目で見られようとな!

 いやいやレンタルは2週間OKのしか借りていないから、そんなに頻繁(ひんぱん)じゃないぞ?

 若い体になったんだから、仕方ないんだよ……。


 世の男性諸君なら、きっと俺の気持ちを痛い程理解してくれるだろう。

 異世界系の小説には、そこら辺が困っている描写があまりなかったんだ。

 実際に自分が異世界にきて初めて困ると気付いた。

 この世界に、その手の物は皆無と言っていい。

 写真や漫画や映像なんてないんだからな。

 あるのは娼館くらいのものだろう。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


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