39話:赤鳥
長らく更新できず、申し訳ございませんでした……
俺に話しかけてきたのは思いもよらない相手だった。
人間ではなく、鳥の姿をしていたのだ。
「鳥が……喋った」
「ふむ、人間にはそう見えるんだろうな」
「そう見える? 本当は違うのか?」
「まぁ、違うというかそもそも我が輩は生命というべき存在ではないからな」
「生命……じゃない?」
何を言っているのかさっぱりだ。
確かに不思議な感じだが、今見えているのは間違いなく鳥の姿をしている。
これがもし仮の姿だというのなら……
「もしかして、精霊か何かか?」
「お、いいところをついてきたな。簡単に言えばそんなものだ」
これでもまだ正解ではないらしい。
とりあえずこの鳥がただの鳥じゃないことは理解した。
「ま、その話は今はいい。それよりも、お主見かけない顔だな。客人か?」
「そんなところだ。理由を話せば長くなるが」
「何故この場所に来た? 一応言っておくが、ここはクリークの許可がないと入れないことになっているんだが」
「クリーク?」
「この庭園を管理している若女だ。その様子だとまだこの城に来て間もないといったところか」
「昨日きたばかりだ。この庭園に入ったのも偶然で」
「偶然? それはあり得ないはずだが」
「あり得ない? どういうことだ?」
「この庭園には人払いの特殊結界が張られているのだ。間違えて入ってこれないようにな」
「そうだったのか」
結界なんて張られていたのか。
でもそんな感じはなかったけどな……
というかそんなことよりも、なんなんだこの存在は。
話しているだけなのに心が安らいでくる。
この庭園に立ち入った瞬間に感じたものと同じだ。
「ん? どうした? さっきから我が輩をじっと見て」
「いや鳥が喋るとかいう世にも不思議なことが目の前で起こっていれば誰でもこうなるだろう」
「不思議か? 喋る鳥くらい世界中探せばいるものだと思うが」
「いやいや、さすがにここまで流暢に言葉を喋る鳥はいないだろ」
なんだか調子が狂う。
まさか鳥と言葉を交わす日がこようとは思わなかった。
「まぁいい。とにかくここは立ち入り禁止だ。事故とはいっても、無断で入ればクリークの恐ろしい待遇が待っているからな」
「そんなになのか?」
「ああ、あれは恐ろしい女だ。だから我が輩の目が黒いうちに出て行った方がいい」
「わ、分かった。悪い、邪魔をして――」
「あらあらぁ、見かけないお客様ねぇ」
もう出ていこうとした瞬間、背後からほんわかとした声が耳に入ってきた。
「おっと、こりゃやっちまったな。時間切れだ」
どこか抜けたような呑気な声で赤鳥が呟くと。
同時に謎のオーラが俺の背中を刺してきた。
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