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38話:迷子の先には

久々の更新です。

お待たせして、申し訳ございません。


 大広間を出た後、俺はティアナとの約束の為に部屋に向かっていた。


 ……のだが。


「迷った。完全に迷った」


 広い城内で一人歩き。

 それは無知な者にとっては、地獄の門を潜りぬけるようなものだ。


「まさか道順を聞いても、迷うことになるなんて……」


 迷子防止の為、予めフィオナにティアナの部屋の場所を聞いておいた。

 なんか怪訝そうにこっちを見ながら、渋々教えてくれた……というのはまぁ今は置いておこう。


 にも関わらず迷子になるということは、もうお分かりだろう。


 この城、まるで迷宮のようなのだ。


 歩いても歩いても同じような道に遭遇する。

 まるでずっと同じ場所をループしているような感じだ。


「マジか。こりゃ完全にやっちまったな」


 誰かに聞こうにも、近くに使用人の姿はない。

 こんなことならフィオナに同行してもらうべきだった。


「失態だ……」


 とはいえ、嘆いていても仕方ない。

 とにかく誰かに会わないと。


 歩いていればいずれ、誰かに会うだろうし。


「後でこの城の場内図を貰っておかないとな」


 歩くたびに誰かに付き添ってもらうのは、流石にマズい。

 ここにいる以上、必要最低限の情報を知っておかないと。


「ん? あれは……?」


 とりあえず人探しで歩いていると、何やら広い道に出た。

 その先には中央にある噴水を筆頭に巨大な庭園が広がっていた。


「すごいな。城の中にこんな庭園があるなんて……」


 その景観はまさに王家の庭園と言った感じ。

 華々しく彩り豊かな植物たちが共存しており、中央の噴水はこの場所を象徴するかのような華美な装飾品で彩られていた。


「街の噴水広場も凄かったけど、ここも圧巻の光景だな」


 何故だろうか。

 ここにいるだけで、安らぎを感じられる。


 自然がもたらす力とでも言うのだろうか。

 

「不思議な感覚だ」


 俺は庭園の奥の方に行ってみることに。

 歩いていくと植物だけではなく、小鳥などの小動物もいた。


 もしかしたら、動物と植物が織り成すこの環境が不思議な安らぎを与えてくれているのだろうか。


「少し休んでいくか」


 歩いていくと、目の前に小さなガゼボが眼に入った。

 ちょうど人間二人くらいが腰を掛けられるベンチがある。


 というのも、迷ったことによる心労とさっきからずっと歩いてばかりだったからか、少し疲れが出てきていた。


「この環境なら有意義に休めるな」


 というか休みたい。

 目を瞑ってこの自然溢れる環境下で身体を落ち着かせたい!


 そんな欲望が俺の中に広がった。

 まぁ……勝手に使わせてもらうのは申し訳ないが、辺りを見る限り人の気配もないし、少しくらいなら大丈夫だろう。

 

 そう思い、ベンチに腰をかけようとした時だった。


「誰だ。この庭園に無断で立ち入りしたのは」


 謎の声が脳裏に響いてくる。

 だがそれよりも、突然話しかけられたことによる驚きの方が勝り、


「す、すみませんっ! これは事の成り行きというか、なんというか!」


 ぴょんと飛び跳ね、反射的に謝罪をする。

 

(ま、まさか人がいたなんて……って、あれ?)


 この時、俺は事の異変に気が付いた。

 確かに声が聞こえたきたはずなのに、周りに人の姿がなかったからだ。


「可笑しいな。今、人の声が……」


「可笑しくはない。確かに我が輩はお主に声をかけたのだからな」


「ほら、やっぱり聞こえて……って、なんで!?」


 間違いなく聞こえてくる声。

 だが人の姿はない。


 周りをキョロキョロみながら、あたふたしているとその声はまた俺に話しかけてきた。


「さっきからどこを見ておる。テーブルの上を見よ」


「て、テーブル?」


 俺は言われた通り、ベンチに隣接していたテーブルに目を向けると。


「う、嘘だろ。まさか……」


「そのまさかだ」


 その姿はあまりにも異端だった。

 何故なら俺に話しかけてきたのは人ではなく、赤い鳥の姿をしていたのだから。

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